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続々時代閉塞の現状・インターネット革命

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不況の原因のひとつにインターネットがあると言われます。
インターネットによって情報が過多になり社会に大きな悪影響を与えているようです。
19世紀の末に印刷機と製紙機の発明により印刷物が多く発行されるようになり
知識が普及して不況の原因になったのは今とそっくりです。
反対にテレビが普及した1950年代には「一億総白痴化」と言われて
知識の普及とはほど遠く、景気の回復とともに消費の増加に貢献したのです。

産業革命というくらいで食料、衣類の大量生産が社会の構造を変え、
輸送手段や動力源の進歩、この200年間は常に何かの革命が起こり
それによる恩恵だけでなく産業構造の変化による不景気もあったのです。

なぜ私がこんな事を書くのか不思議に思われる人も多いと思います。
私の仕事は木彫です。
日本の木彫刻は鎌倉時代に大きな発展を遂げて技術的に完成されて
その後はそれを越えるものは出てきていません。
江戸時代に出てきた円空、木喰上人の木彫は技術よりも信仰心など精神性に
重きをおいたものです。
高村光雲、平櫛田中など伝統に写実を加えて近代の木彫の隆盛に貢献した偉人もありますが
しょせん鎌倉期に完成された技術を大きく進める事はありません。
700年も前から何も変らない、むしろ後向きな技法で木を刻んでいては
現代の価値観から言えば、職業として成り立たないと思います。
そんな世界で生きてきた私にとっては「情報」や「費用対効果」を考えていては
良い仕事はできないのです。

小売業がインターネットによって崩壊したようにも思えますが
その廃墟に生まれる新しい生命があるはずだと思います。
繊維産業は産業革命で常に変革を迫られてきた分野です。
今は中国製造の衣料に征服された市場ですが、そのうち中国からインドなどへ工場も移ります。
その頃には流通の手段も今とは違うでしょう。
高級衣料もなくなってしまうとは思えません。
伝統工芸のようなものになって生き残るでしょう。
これからも進化を続ける産業革命は常に大量生産が主役だから
それが原因の不況はつきものなのです。
物を作る力は人間の生きる力です。
今の不況を乗り越える力とはそういう生きる力だと思います。
自給自足で頑張るような力です。
by tatakibori | 2009-12-22 21:36
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