美術を産業としてみると

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美術を産業としてみると、いったいどれくらいの数の人が従事して
これで生活を立てているのでしょうか。
完全に作家活動をしている人となると、かなり少ないように思えます。
画家、彫刻家などの美術作家と陶芸、木工などの工芸作家を合わせても
周辺で考えてみると1万人当たりにせいぜい5人くらいでしょうか。
田舎はその割合が少ないでしょうから、仮に日本全体で7万人とします。
学校の先生がおよそ130万人とすれば、美術関連は20人に1人として6.5万人。
全国に美術館が1千以上あります。そこで働いている人は1万人程度と想像できます。
各種デザイナーなどもかなりの数がいると思われます。
他にも美術商、百貨店の美術、古美術店などで働く人もいます。
いい加減ですが、仮説としておよそ20万人の就労人口が想定できるような気がします。
自衛官が23万人、警察官が29万人、医師が25万人ですからけっこうな産業です。

それだけの身近な産業であるにもかかわらず、この業界の将来を論ずる時には
往々にして有名な人や作品の話でスターになる事やお金持ちになるような話が先行します。
村上隆の作品がニューヨークのオークションで約16億円で落札されて話題になった事があります。
彼の著書や談話から感じるのはモチベーションがネガティブな所にあると言うことです。
わかりやすく言うとコンプレックスをバネにしているのですね。
こういう生き方は起業論とか経営戦術みたいでバブル的なものを連想させます。
小室哲哉の失敗に似たものを想像してしまうのは私だけでしょうか。
立派な産業としての人口を抱えているのですから、何も特別な方法や理論がなくとも
美術を生業とすることは可能だと思います。

ずっと以前に権威ある某美術館の館長にお会いした事があります。
簡単な紹介(祖父の代から円空仏のような大胆な作風の木彫をしている・・・)があり
挨拶したのですが、突然にこう言われました。
「そういうのが一番困るんだよ。人間の本質にあるものだから評価が難しい。・・・」
話はそれだけで何をしに行ったのかはよく分からずじまいでした。
その時に帰りのクルマの中で思いました。
「私の作品を中学生の女の子でもお金を払って買ってくれるのだから、権威ある有識者に
認められなくても生活するには何も困らない。」
ひょっとしたら権威ある方々の中には感性が欠落していて芸術に対する感動が無い人があるのかもしれません。
もっと考えていけば、有名な芸術家でも感性に乏しい人がそのビジネス手腕で成功しているのかもしれません。
芸術の才能は何かプラスのものではなくて、何かが欠落しているマイナスの要因による場合があります。
だから普通に真面目に努力を積み重ねる事を軽んじる人もあります。
でも普通の職業として考えれば「悪い所だけは天才にそっくり」というのは困ります。
猿に絵を描かせて売るような金儲けをたくらんではいけません。
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by tatakibori | 2010-02-20 16:17 | 仕事 | Comments(0)
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