先日の当日記のために幸田文のエッセイ集「包む」を出したので
ついついまた読んでしまいました。
この中の「むしん」という文がなかなか好きです。
「むしん」はお金を借りることです。
ともすると下世話なものになりがちなテーマを強い女の自分を出しながら
上手く表現しています。
昔はお金のやりくりに苦労している家はいくらでもあって、質屋とか
町の金貸しとかけっこうたくさんあったように思います。
恥ずかしながら我が家でも金の苦労はいろいろとありました。
若い頃はお金の「むしん」によくついて行きました。
歳をとってから他人が仕事や「むしん」に息子を連れているのを
見るとこんな立派なかわいい後継者があってこの人は幸せだな
と思うようになりました。
そういう目で見ると私はきっと、たいへん優れた「むしん」の道具であったことでしょう。
つい最近までの苦労が遠い昔のように思えます。
・・・・・・だれが引き立ててやるものか。
そうとう疲れています。(笑