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明治生まれに学ぼう

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我が祖母は明治40年(1907年)生まれの101歳、おそろしいほどに楽天的です。
考えてみれば昔の人は楽天的でした。
まだ分からない先の事に悲観的になっては何もできません。

祖母と同年生まれの絵を描く婦人がいました。
80年ごろに主人が倒れ長い入院でお金が底をついたと困ってました。
当時は動けない老人には付添婦を頼まなければならなかったので
入院の負担が大きかったのです。今では考えられないような話です。
それで、特養に入所する手続きなどお世話したのです。
そうやって落ち着いたら、彼女はまた昔のように元気よく海外旅行など
楽しんで1989年にロボットの電池が切れたように自宅で亡くなりました。
裕福で育ちの良い、楽しい人で、ハイファッション誌のピエールカルダン賞という
デザイナーの登竜門の第一回受賞者という輝かしい経歴もあったのですが、
そんな事は感じさせぬ普通にお洒落で誰とも対等にファッションや映画の
話を楽しむ人でした。死んだ時もおそらく貯金はほとんどゼロだったと思います。
何故、彼女を思い出したかと言うと昭和の初めの世界恐慌で
彼女の父親は破産してたいへんな目にあったのです。
津山では有数の資産家で投資家だったのです。
そしてちょうど人生の働き盛りの良い時期が戦争だった世代です。
たいへんな苦労があったと思われますが育ちの良い彼女はいつも
楽しかった話だけを聞かせてくれました。
内村鑑三に会いに行って洗礼を受けた少女時代、関東大震災前の東京、
主人に内緒で映画を見に行った事、三宅一生や篠山紀信の話など
とてもおもしろかったのです。
我が家では少女のようにアンアンやブルータスを喜んで読んでいました。
育ちが良いというのはああいう人の事だろうと思い出します。
by tatakibori | 2008-10-12 21:31 | 日々の生活
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