古里や へその尾に泣く 年の暮れ
芭蕉が母を亡くして伊賀上野に帰省して詠んだ句です。
へその緒というのが美しくないようですが
その優しい心根を感じさせる深さがあります。
芭蕉の句には創作がなく真実のみが詠まれています。
私は思います、文学こそが永遠の輝きを失わない真の芸術だと。
言霊(ことだま)とたいせつにされたように文学は真実でなければなりません。
ウソの言葉の羅列は詩歌ではなくただの戯言で
文学でもなんでもありません。
この句をお悔やみの手紙に書いて送ってくれたNさんは
詩人や文学者を自称はしませんが文章を書くことを
生業とする、いわば野の文人です。
叩き彫の山田家も木彫を生業とする野の人です。
地に足の着いた強さがそこにあります。