カテゴリ:仕事( 214 )

引き出し

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木版画教室も丸3年が過ぎて、生徒の皆さんも上達してきました。
当初の目標は棟方志功の模写や、それ風の楽しい版画を
体験してもらう事でした。
棟方志功の画集をご覧いただければわかりますが、
楽しい版画ばかりではありません。
アートとしては強いメッセージを持っているのでしょうが、
それを模写するのをためらうような表現も多くあります。
また複雑な表現は素人には無理だったり、
成し遂げても満足感の無いものもあります。
そこで可能なものは簡略化したり、
理解しやすい表現にアレンジしてお手本を提供しています。
でも、数多くやっていくとネタ切れと言うか、
アイデアの引き出しが空になる日があります。

今年のそんな時に眺めていた本を並べてみました。
鳥獣戯画と浮世絵の画集は基本の一つです。
文様の本は古典的なデザインの宝庫です。
浮世絵や江戸期の伊万里焼のセレクトなどは
ハッとするほどセンスの良い本です。
中国から取り寄せた篆刻の本は、かの地では初心者、学生向けの
ものですが、日本のものよりはるかに専門的です。

創作を始めた頃のやりたい事のネタはすでに
使い果たしてしまったので、こういう古典をもう一度
深く調べて自分の作品に馴染むアイテムを拾い集めて
築き上げる作業が増えてきた今日この頃です。

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by tatakibori | 2016-12-22 21:05 | 仕事 | Comments(0)

還暦記念の個展

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5月20日~22日の3日間近くのイオンモール内のホールで
創作を始めてから今までの比較的大きな立体作品を
並べて集大成的な個展を開きました。
総重量が1トン以上、点数にして120点ほどの展示です。
会場はショッピングセンターの多目的ホールで、
普段は講演、会議、講習会、映画上映、ミニコンサートなど
色々な催事に使われている施設です。
スポットライトと白い壁があるので沢山の作品を並べると
それなりの美術展の雰囲気が出来上がります。
時間的、質量的に密度の高い展示が来場者に感じていただけたと思います。
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美術に専門的に携わってきたある方が興味深い感想を言いました。
「このような広い会場でスポットライトを当てると、工房で見る
作品の持つ親しみが薄れているようです。」
美術館のような、もっと広くて専用の空間にゆったりした間を持って
展示すればさらに親しみが薄れていくかもしれません。

最近行った我が家のリフォームの打ち合わせで「生活感」という言葉が
よく出てきました。
生活感を出したくないという方も多くて、施主の嗜好を判断しながら
細かな配置やデザインを決めなければならないようです。
私の考えは合理性が優先ですから、生活感の排除のために不便になるような
配置は必要ないと伝えました。

この「生活感」のようなものが工房にあって、それが作品に親しみを
プラスしているのです。
冷たいRC構造の大きな空間にプラスターボードを張って作り上げ
られた白い無機質な展示ホールは音の残響も長くて、無意識のうちに
居心地の悪さを観客に与えます。
その暗い空間にスポットを当てて浮かび上がらせる手法は非日常であり
人々の生活とは隔絶されたものであり、ある種の客観性を失っているとも
言えるでしょう。
作品がどうであるかより、そこに持って行って展示する事の方が
意味が大きくなってきます。

今回の来場者のほとんどが「優しい表情になごみました」と
言った事が私の個性なら、これからの活動の方向性が
はっきりしてきたように思えました。
創作の分野の仕事は奥が深いので、今時の還暦は
まだまだこれからとも言われます。
元気でいられる間はまだまだ何かを彫り続けたいと
願っています。





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by tatakibori | 2016-05-26 08:52 | 仕事 | Comments(0)

コノハナサクヤヒメ

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これは03年制作の「コノハナサクヤヒメ」(杉材)です。
ついでながら、前回投稿の写真は「アメノウズメノミコト」(コナラ材、04年作)です。
コノハナサクヤヒメは日本神話の中で最も美しいとされる女神です。
天孫降臨のニニギノミコトが国つ神のオオヤマツミの娘コノハナサクヤヒメと結婚するお話があります。
姉のイワナガヒメが美しくなかったので断り、妹を選んだという物語です。
コノハナサクヤヒメは富士山の神さまでもあり、富士山頂や富士がよく見える場所には
浅間神社という名の神社があり、その主祭神はコノハナサクヤヒメです。
大阪市の此花区という最後に出来た区の名もこれに由来するものです。

津山市には黒姫伝説という仁徳天皇に愛された絶世の美女の神話があります。
私の住む奈義町は那岐山の名であり、那岐がイザナギノミコトの事です。
那岐神社もありますが、対になるイザナミノミコトの那美神社もあります。
安直ですが「いざ、奈義」と語呂合わせのキャッチフレーズも良いかもしれません。

政教分離と神経質な時代もあったようですが、ここらで考えを柔らかくして
日本神話も宗教と見るよりは観光資源の伝説としてPRの材料にするのが
賢明だと思います。
今朝の山陽新聞に岡山県の出した広告に「この花咲くや」とあったのを読んで、
関連や必然性のない言葉を並べるよりは後からは作れない歴史や伝統に
根ざした地域性を見直すのがたいせつだと考えました。

久しぶりにイザナギ、イザナミ像を彫らなければと思うのでした。

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by tatakibori | 2016-03-18 20:54 | 仕事 | Comments(0)

ヒツジ

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来年の干支は「未」です。
年賀状用の木版画のヒツジは意外に難しくて、
絵を探しても参考になるような面白いものがありません。
棟方志功の木版画にも、絵にも全く無いようです。
手元にある干支に関する資料でも何故か羊は少ないのです。

昨日、運良くほんものの羊に出会いました。
どのような絵にするかは、頭でなくて手で考えます。
何となく描いていればだんだんそれらしいものが出来てきます。
絵の神さまは簡単にひらめきを与えてくれませんが、
手は考えなくても筆を動かします。
先祖からの仕事の手が今を生きる私を助けてくれるようです。
いや、「仕事をしろ。」と言っているのでしょう。

こんな木版画の年賀状になりました。
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by tatakibori | 2014-11-23 20:44 | 仕事 | Comments(0)

此秋は何で年よる雲に鳥

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芭蕉の最期には、この句の前に
「此道や行人なしに秋の暮れ」があり
後に
「旅に病んで夢は枯野をかけ廻る」があります。

似たようなテーマの句ですが
「此秋は・・」は死を予感した心情があり
「此道や・・」は一生を振り返った孤独と覚悟があります。
辞世とされる「旅に病んで・・・」にはすでに風雅を思い続ける希望が見えてきます。

解説本には「雲に鳥」の出典として陶淵明や杜甫の詩句のようだと
書かれていますが特定はされていません。
この古い日本の死生観がどこから来たのか大いに興味があるところです。
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by tatakibori | 2014-10-25 19:50 | 仕事 | Comments(0)

クラフトデイズ2014秋

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美作の美術工芸作家集団のイベント「クラフトデイズ」は
この秋、コンパクトなイベント「クラフトデイズ2014秋」を
開催します。
11月1、2、3日の連休、イオンモール津山(中国道津山I.C.すぐ)の
2階にあるイベントスペース{イオンホール}を主会場にして
その周辺も使い、8組の作家が展示とワークショップを行います。

従来は自治体の管理する公共の施設を使ってきましたが、
今回は最大の小売業であるイオンの施設を使うのが新しい試みです。
作家活動の可能性を広げる意味では大きな展開であると言えます。


クラフトデイズ宣言の結びにこう書きました。
技術を継承し、生活の糧を得るため作品を売るという避けられない現実もある。
そういう小さな経済の循環の為にもよき理解者と価値観を共有し語り合える仲間が必要である。
クラフトデイズは美作の地にその場を作るためにある。

少しでも良い出会いの場にしたいと願っております。
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by tatakibori | 2014-09-25 11:20 | 仕事 | Comments(0)

叩き彫

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昭和20年代の祖父の作品です。
この作風で「叩き彫」と名付けられました。
祖父は円空には興味を持っていなかったようで、
写真集や雑誌など見ていませんでした。
昭和になって円空を見直したのは柳宋悦ですから、
民芸運動に近かった人達がよく知っていたのは
間違いありません。
円空を模したものではないのが祖父の特徴です。
私は幼い時に祖父の彫る姿や、作品を身近に感じて
これが途絶えるのはもったいないと思いました。
しばらくは叔父が後継者として仏像を彫っていました。
私は叔父とバトンタッチしたようなものです。
円空の写真集は子供の頃から見ていましたが、
祖父の豊かさ、バランス感覚はなかなか良いと
信じて育ちました。
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今日の私の新作です。
鉈彫りと呼ばれる大胆な表現は平安時代にはすでに登場して
仏像彫刻にまた違った芸術性を加えています。
円空にも先人があったのです。
もっとさかのぼれば、ホモサピエンスが石器や鉄器を
使い始めてすぐに木彫はあっただろうと思われます。
日本は森林がとても豊かだったから身近な素材の
一番は木材だったはずです。
しかし、残念ながら湿度の高い日本では
木彫は腐り、保存されなかったのだろうと思うのです。
私の木彫のルーツは祖父の叩き彫であり、
さらにたどれば原始の人々が木を刻んでいた
文化にたどりつくだろうと自分では思っています。
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by tatakibori | 2014-09-18 12:34 | 仕事 | Comments(0)

似合いませんが・・・

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高校生の頃から、もう40年もやっている消しゴムスタンプです。
最初はカッターナイフで彫ってました。
老眼で目が見えなくなり細かな彫りは出来ないので、
大胆に版画用の三角刀で彫ります。
小さな模様のハンコを組み合わせて押すと
きれいなポストカードにもなります。
カラースタンプ台も色数が増え、値段が下がり
手軽に楽しめるようになりました。
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木版画教室も盛況ですが、
イベントでやる場合には時間的に
無理になる場合もあるので、
消しゴムスタンプのワークショップも計画中です。
小学3年生以下のお子様向けには
押して絵を作るスタンプ画のワークショップも検討中です。

木版画の楽しさを手軽に理解していただくのが
目的でもあります。

若い頃は「若造がほとけさんを彫っても説得力がない」と
さんざん言われました。
この年になってファンシーなワークショップは似合いませんが、
入門のハードルを如何にして下げていくかが問題です。
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by tatakibori | 2014-09-08 09:01 | 仕事 | Comments(0)

静かな個展

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どこか新しい場所で個展をやってみたいのです。
静かな所が良いです。
古民家ギャラリーが流行りですが、そういう場所も好きです。
湿度も高めの方が作品に優しいのです。

先日、屋外のイベントに参加したところ、
西陽が当たり乾いた風が吹き作品がたくさんヒビ割れてしまいました。
ギリギリ一杯まで待って片付けようとしたら、
そういう時に限って、「早く片付けたら困る」という苦情が出ました。
私にとってはたった20分ですが、その方にとっては
許せないという感情が強かったようです。
もう屋外のイベントには参加しない事にします。

加齢とともに耳の調子がよくありません。
残響が長い空間にいるととても疲れます。
不快な残響音でも我慢できる若さはもう取り戻せません。
床がカーペットの百貨店の画廊は静かですが、
アートスペースの多くは白い箱で床は固くて
残響が長くて不快です。
残響の長い教会のような音楽や講演のためのホールが
たくさんあります。
音響設計という概念がはじめから無い建物が多いのです。
とくに打放しコンクリートのオシャレな雰囲気の建物は全部ダメです。
対象年齢が高い私の仕事なら静かさは必須だと思います。
同じ様に湿度が低い場所は向いていません。

10数年前に京都鹿ケ谷の法然院という名刹の講堂を借りて
父と二人展を開いた事があります。
静かで湿った不思議な空間でした。
あそこの問題は外国人が多くて言葉が通じないのには弱りました。
日常会話とは違うレベルの語彙が必要です。

歳とともに個展の形態も変えていきたいのです。
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by tatakibori | 2014-06-05 18:54 | 仕事 | Comments(0)

クラフトデイズの将来

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美作の工芸作家展として昨年春にスタートしたクラフトデイズは、
イベントでありグループでもあるぼんやりした定義の活動です。
昨秋の初イベントは津山文化センター展示ホールで、
2回目のイベントはクラフトデイズワークショップフェアとして
奈義町現代美術館前エリアで開催しました。
どちらも会場費を抑える為に、初回は津山文化振興財団、
次は奈義町との共催という形をとりました。
2回やっての反省点として自治体やそれに準じる組織との
連携は私達作家集団にとって難しい面がある事です。
物事に対する取り組み方や言葉の使い方そのものに
大きなズレがある場合が出てくるのです。

反省点を踏まえて今後の展開を思案中です。
私たちは何が目的だったのかあらためて考えています。
先ず、
クラフトデイズ宣言
工芸の仕事に携わる者は得てして寡黙である。
言葉で伝えるより仕事で伝えたいという願いがあるからだ。
そうやって手仕事を重ねて作り上げた手のぬくもりを持つ物は自然の摂理に適い、
生命の循環の一部を成す安心感に包まれている。
尊い仕事を継承するのは大きな喜びと引き換えの苦しさもそれなりにある。
夢を持ち続ける事は容易ではないが、
環境がそれを奪う事が出来ないのもこの分野の特徴である。
資金や組織がなくても手と情熱があれば物作りは何処でも可能である。
むしろ厳しい環境下でこそ作品が輝きを持つとも言える。
技術を継承し、生活の糧を得るため作品を売るという避けられない現実もある。
そういう小さな経済の循環の為にもよき理解者と価値観を共有し語り合える仲間が必要である。
クラフトデイズは美作の地にその場を作るためにある。
(2013.11.18)


もともと若い作家が食べていく土壌を作るのが一番の目的でした。
その次は地域に暮らす人々と関わることによって
若い世代にこの地域での未来に少しでも希望を作ることです。
疎外感とジェラシーのないあたたかい心のふれあいが
美術工芸を通して出来るのではないかと考えたのです。
作家同志の交流によってベースになる世界を作り、
そこにファンを交えて言葉では伝わらない気持ちを感じあうのです。
そういう人と人の心のふれあいこそが私達の目的でした。

既存のイベント形式で行うと色々な煩わしい事柄があります。
目的を充分に理解しない関係者も発生してくる場合があります。
もっとシンプルに作家とファンの気持ちの交流ができないでしょうか。
ファンは普通の人であり、むしろ遊び慣れてない真面目な人が多いようです。
行動力や好奇心が旺盛な人なら作家の工房を訪ねて
自分で道を開きますが、普通の人は何かイベントでもないと
なかなか近づけない雰囲気はあります。
イベント形式から大きく離れるのは難しいようですが、
無駄を排してよりスムーズに目的を達成できる方法が必要なのです。

まだ具体的なアイデアは出ないですが、
ここにヒントを一つ挙げておきます。
ヒューマンインターフェィスと言って人間が機械(パソコンなど)に
どうやって接して扱うかの考え方があります。
どんどん進歩して、今は取り扱い説明書が無い機械もあります。
人間の感覚や本能を大事にして、思うままに触っているだけで
使い方がどんどん分かってくるのです。
これを美術工芸作家とファン(一般の人)のふれあいに
当てはめて考えていくのです。
多くの人がクラフトデイズに何を期待しているかを
知る事が一番です。

今、クラフトデイズは大きな希望を持つものとして、
作家からもファンからも期待されているのを実感しています。
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by tatakibori | 2014-05-20 19:59 | 仕事 | Comments(0)