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ジョン・リー・フッカーを大統領に

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ライ・クーダーの新譜「PULL UP SOME DUST AND SIT DOWN」
内容は前作「I, Flathead 」の延長と言うか、時代がどんなに変ろうともまったくゆるぎないミュージシャンです。
先日、紹介したポール・サイモンと同じで、古い時代の黒人音楽を深く掘り下げているのですが
ライ・クーダーはエキゾチックで濃い口です。
食べ物に例えるなら、普通のアメリカ音楽がハンバーガーなら、ライ・クーダーはチリビーンズとか
タコスのように日本に馴染まなかったアメリカンジャンクフードみたいです。
曲のタイトルに西部開拓時代の無法者ジェシー・ジェイムスの名があったり、
ライの親しかったブルースマンの名が「ジョン・リー・フッカーを大統領に」と出てきます。
その世界は日本人からは一番遠いアメリカ南部文化と言えます。
70年代にも共演しているアコーディオン奏者フラコ・ヒメネスを迎えて熱演の
テックス・メックス(メキシコ風テキサス)音楽は彼の原点のひとつです。
きめ細かなディテールの表現にこだわる日本人の感覚から言えば単純で乾いた音ですが
ポピュラー音楽の原点のようなリズミカルで楽しい演奏だと思います。
こういうのが好きな人はオーディオに対しても音楽に対しても普通の感覚とはちょっとズレています。
芯のあるガツンとくる低音があってその上にリズムが乗って・・・
そう言うのはなかなか理解してもらえない場合が多いのです。

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by tatakibori | 2011-08-31 20:56 | 音楽 | Comments(0)

見た目年齢

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我が祖母はとうとう満104歳になります。
ぱっと見た目にはまだ80代に見えます。
それならば、20歳近く若く見える事になります。
たいへん若く見えると言われる人でも、実際に先入観を持たずに
何歳に見えるか確かめてみたら、せいぜい10歳くらい若く見えるだけです。
実際には50でも40歳くらいに見えたら、とても若く見える人です。
不思議な事にほとんどの人の年齢は見た目で判断出来るのです。

小さなお子さんをお持ちの方は経験があると思いますが
保育園に迎えに行ったら一瞬どれが我が子か分からない事があります。
同じような年齢の人間は制服を着ていれば皆同じに見えるのです。
それと反対に年老いた親の同窓会があって迎えに行った時にも
誰が自分の親か分からない事があります。
何故か老人は同じような色合いのジャケットを着て、同じように薄くなった白髪で
皆同じに見えます。

それとは少し違いますが、書く文字にも同様の傾向があります。
小学校一年生の文字、高校生の文字、老人の文字があると思います。
祖母の日記で確認すると平成10年までは普通の老人の文字でしたが
11年(92歳)にはやや力が無くなって文字がふるえてきます。
満100歳までは日記を付けていましたが、だんだん書けなくなり
102歳には完全に日記を止めてしまいました。
父の体験は面白くて、頭を打ったダメージでボケが進行していたにも
かかわらず、死ぬ3ヶ月前にリハビリの同意書にサインしています。
もちろんふるえた文字で、年老いた人間が最後に書く文字です。
人間は生物としては20歳くらいで完成形になるようですが
その頃が一番文字が不安定なように思えます。
老化が始まって、体が固くなった50歳位になってくると
充実した文字を書くようになります。
神経が敏感で関節が柔らかい若者は型にはめた文字が
書き難いのかもしれません。

自分ではものすごく個性があって他人とは違うように思っても
客観的に見て統計的に判断すれば人間に差などほとんど無い・・・
現実はそんなものなのかもしれません。
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by tatakibori | 2011-08-18 20:32 | 日々の生活 | Comments(0)

熟練の芸術家

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夏はアートのイベントが多くあります。
こちらは5~60代のベテラン達による絵画展です。
ちょうど新聞社の取材があったのですが、
ベテランは若者よりも寡黙というか主張が控え目です。
言葉に出来ないものがあるから絵を描いているのでしょうが、
そういう事さえ言おうとしません。
狙っているテーマや考えは若者もベテランもそれほどの差は無いようです。
大きな違いは、まさに熟練というか同じ事の繰り返しの中に
積み上げられた重みやシャープな表現だと私は思います。
生物としての五感の性能は落ちてくる筈ですが、
その色彩表現などは磨きぬかれた力があります。

21世紀になって一番変ったのがこの世界のように思えます。
多くの芸術家が現れ、賑わいを見せています。
地方紙のエリア情報にもほとんど毎日展覧会などイベントの紹介があります。
作る人も増えましたが、見て楽しむ人はもっと増えています。
自動車や家電は不況が深刻と言われていますが、
こういった世界は大きな資本が要らないし、
「労働者」へ直接に報酬が渡るというメリットがあります。
GDPを押し上げる数値にはなりませんが、
国民生活を豊かにする力は大きいような気がします。
芸術文化の産業としての発展は日本の希望です。
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by tatakibori | 2011-08-03 21:03 | アート | Comments(2)

人間国宝

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とうとう今年70歳になるポール・サイモンの新譜「So Beautiful Or So What」です。
こんなシールが貼ってありました。
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「ポール・サイモンは国宝」というのは中々の文句です。
シールにある「Graceland」は1986年に南アフリカ共和国のミュージシャンを迎えて
録音されたワールドミュージック系のアルバム。
今回も黒人ミュージシャンが前面に出たルーツ・ミュージックを基調とした音楽です。
70歳になるのに衰えない歌唱力も素晴らしいですが、
緻密に作りこんだ音楽は老いを全く感じません。
ギターのサウンドがここまで計算されつくした音楽はめったにありません。
ハリウッドの上質な映画を見るような感動があります。
何度も繰返して聴きたくなります。
70歳にして25年振りの傑作と言われる作品が出来るのは
日頃の修練の賜物に違いありません。
YouTubeにあったメイキング映像での彼の暮らしぶりや服装が
ほんとうの豊かさとは何かを我々に示しているようです。
使い込んだマーチン、フェンダーのギター、GAPかエディ・バウアーのような
素朴なアメリカ的普段着、林の中にある小振りな木の家。
多少貧しくても手に入る豊かさに見えます。
これも虚構かもしれないけど、親しみがあります。

私は70歳まであと15年、その時に少しでも良い仕事が残せるように
頑張りたいと、このアルバムを聴いて思います。

ありがとう、ポール・サイモン。
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by tatakibori | 2011-08-02 20:42 | 音楽 | Comments(0)

時代は変る・若い芸術家達

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7月30日に2つのイベントに行ってきました。
先ずは岡山市の南のはての離島で毎年行われている
若手アーティストによるアートイベント「犬島時間」です。
主催者の青地大輔さんに誘われて久しぶりに潮風に吹かれる
のんびりした時間を過ごしました。
島は道路が自動車用にできていないので自動車は走っていません。
明治の終わり頃に栄えた銅の精錬所跡が島の名物です。

その帰路に、陶芸家の森永淳俊さんの初個展に立ち寄りました。
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昭和53年生まれ団塊ジュニア世代の作家活動の出発です。
彼は盆栽の嗜みがあり、盆栽鉢を作る珍しい陶芸家です。
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記念にマグカップと小皿を買いました。
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私とは22歳の年齢差ですが、人生は忙しいもので
この20年余りに多くの事柄をこなしていかなければならないのです。
そして還暦を過ぎてからが作家活動の第2の本番とも言えます。


若い人たちの作品はストレートな気持ちが感じられて清々しいと思います。
技術的には時間をかけて熟練して向上していくのですが
こころざしの部分は時間をかけても生まれてきません。
初心忘るべからず、と言うようにそのモチベーションが大事です。
私の場合はその熟練してしまった技術と初心をどう折り合いをつけて
いくのかという課題も出てきています。
これはこれでとても面白い作品や試みが出来そうです。

若い人が自由に生きられる良い時代になってきたのを実感します。
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by tatakibori | 2011-08-01 08:56 | アート | Comments(0)