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叩き彫スピーカー・プロジェクト・考察

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オーデイオの楽しみは複雑で多岐にわたり、ひとつの価値観では語れないところがおもしろいようです。
ケーブルひとつで天地がひっくり返るくらい違って門外漢には
ついていけないようなこだわりを持つ方も多いのがこの世界です。
電源を入れてからの時間経過で音が少しずつ変わるのも事実で、
アンプの電源は入れっぱなしの人も多いようです。
朝と夜ではまったく違ったり、もちろん聴く人間の体調も大きな要素になってきます。
ある種の「作法」のようなものが出来上がり、それを語る独特の言葉もあり、
さらに哲学論とも言えるような価値観を示す人もあります。
複雑怪奇でしかも無駄に贅沢に見えるのは正しい精神の持ち主です。w

音を変える要素は限りなくあってそれぞれを解明してそれぞれにこだわり、
品質を上げていくと果てしない作業になり、資金も無限に消化していきます。
しかし、結果としての音はどんな状態でも存在してしまうのです。

要素の中でもスピーカーは大きなものであり、音の性格を決定する最大のポイントです。
スピーカーの箱の制作においても方法論や計算式もたくさん出回っていますが、
これにも要素が多く、それぞれが複雑に絡み合っていて理論と実際にズレがある場合もあります。
箱の自作の楽しみは低音の再生に行き着きます。
初期JBLの大型ホーンなどまさに箱の工夫であり、工作のおもしろさにあふれていて
今もなお多くの人を惹きつける魅力があると思います。

今回の叩き彫スピーカー・プロジェクトは私の40年近いスピーカー工作の集大成としての試みです。
最新の高音質の小さなユニットで、箱の工夫で低音を伸ばせば
昨今の主流である定位感にすぐれたハイエンドスピーカーのような雰囲気が出せるはずです。
最も大きな課題はスピーカーそのものの存在感というかデザインが最終的に問われる事だと思います。
今回は、デザイン的にも音質的にもおもしろいひとつの提案が出来たようです。
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by tatakibori | 2011-09-28 08:44 | オーディオ | Comments(2)

叩き彫スピーカー・プロジェクト・その6

フォステクスFE126Eはバックロード専用ユニットでかなりハイ上がりの特性です。
大型のTQWT&バスレフのハイブリッドで低音を持ち上げても耳を刺激する高音のエッジが
神経に障る場合があるようです。
FE126は残念ながら使用をあきらめて、古いユニットですがFE127を取り付けてみました。
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こちらはマグネットが小型になりバスレフ用になっています。
能率が126よりやや落ちるので大音量には弱いようです。
秋葉原のコイズミ無線のオリジナル商品にこの後継機種FE127KOがあります。
改良されてかなり繊細な表現もこなすようです。
口径12cm以下のクラスで安価で高音質となるとマークオーディオCHR70があります。
これもVer.3になっていて、手持ちのものは旧型ですが、取り付けてみました。
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旧型はフレームの構造にやや難があるのと、フォステクス12cm用の穴がわずかに大きいので
12mm厚のMDFでリングを作ってユニットにしっかり取り付けました。

CHR70はさらに能率が低いので大きな音は出ませんが、
普通の家庭なら充分な音量を得るのは可能です。
音量を上げていくと共鳴菅とバスレフの共振点あたりで振動板に圧力がかかると
音がつぶれて歪むのが気になります。
そこがバックロードの大きな負荷に耐えられるフォステクスとの個性の違いです。
欠点を先に書いてしまいましたが、音質はこちらの方が一枚上という感じで
ジャンルを問わずオールマイティに音楽を奏でます。
アンプを上等なものに換えるとそれなりの向上も得られるのでポテンシャルは高いようです。
フォステクスの方が中音域の線が太いのでブルースやフォークでは味があります。
同一条件ならCHR70はやや低音が膨らんでいるようですが、
大型スピーカーと比較してみると実際にはかなりフラットに出ています。
箱の個性で中低音に共鳴音が付くのかやや固い音になっています。
澤野から出た大石学トリオはこれが今までで一番良かったと思います。

自分用ならフォステクスFE127で、人に薦めるならCHR70です。

どちらのユニットでも全域にわたって充分な表現力を得る事に成功したようです。
この方式はバックロードホーンで気になるユニット室の圧力が少ないのが大きなメリットです。
ユニットが自由に動く平面バッフルに近いので音を濁す要因がグッと減ります。
小口径のユニットの可能性を引き出す最良の方法だと私は思います。


今後の展開としてはコイズミのFE127KOを試してみたいのと
マークオーディオの新製品を含む他のユニットも取り付けてみたいですね。
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by tatakibori | 2011-09-27 08:20 | オーディオ | Comments(2)

叩き彫スピーカー・プロジェクト・その5

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まだオイルの乾燥が充分でないですが、ユニットを取り付けて音を出してみました。
さすがフォステクスという感じで大入力に耐えて大きな音が出ます。
形状から連想するように、ウッドベースやアコースティックギターの音はたいへん素直です。
ロックはやや音が団子になるような傾向もあります。
クラシックを小音量で聴くと欧州製高級スピーカーのような引き締まった音像が浮かびます。
箱鳴りは予定よりは小さくて、ユニット下部のバッフル面が一番大きく震えています。
バスレフがきっちり動作している影響だと思います。
叩き彫スピーカー「八百萬」ですから、装飾をしました。
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オイルの乾燥がまだなので仮止めです。
なぜかグッと表情が出てきます。
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by tatakibori | 2011-09-26 08:35 | オーディオ | Comments(0)

叩き彫スピーカー・プロジェクト・その4

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あっと言う間に組みあがりました。
今回は全部エアーの釘を打ち込んだので分解はできません。
上部の細い所にだけ少し吸音材を入れています。
ボンドが乾いてきたら全体を#120~240のサンドペーパーで磨き上げます。

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今回はワトコオイルのダークウォールナットで着色しました。
ワトコオイルは乾くのに時間がかかるのとやや高くつきそうなので
次回からはウレタン塗料で着色します。
ここまできたら早く音を出したいところですが
じっと乾くまで我慢です。
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by tatakibori | 2011-09-25 10:59 | オーディオ | Comments(2)

叩き彫スピーカー・プロジェクト・その3

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スピーカー工作は設計が4割で段取りが4割、残り2割が組み立てです。
組み立てに入るとスムーズに進んでいきます。
バスレフのダクトは手持ちの紙菅にちょうど良い径のものがありました。
これでパーツの数がさらに少なくなりました。
ボンドをたっぷり塗ってエアーツールでパスパスとあっという間に組み上がります。
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by tatakibori | 2011-09-24 09:54 | オーディオ | Comments(0)

叩き彫スピーカー・プロジェクト・その2

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どこのホームセンターでも売っている針葉樹合板12mmを使います。
板が薄いので角材で徹底的に補強しますが、
箱鳴りはある程度はあったほうがこの場合は良いという設計です。
木取りはたいへん簡単ですが、
91x182cmの合板一枚で少し足りないのが惜しいところです。
とりあえずユニットの104mm径とバスレフ穴50mmを開けています。
震災以後は合板が少し値上がりしています。

このスピーカーは高能率で省電力を目指します。
フォステクスのバックロード専用ユニットのポテンシャルに期待します。
大音量のロックやジャズが楽しめるなら結果的に社会に大きな貢献ができます。
主張がどこにあるのかよく分からないデモに参加するより
確実に原子力発電を少なくできる小さな努力です。
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by tatakibori | 2011-09-23 18:06 | オーディオ | Comments(0)

叩き彫スピーカー・プロジェクト

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見た目のインパクトがあって省電力ながらそこそこ大音量もこなせる
小型デジタルアンプに最適のスピーカーを考えました。
名付けて「TATAKIBORI SPEAKER PROJECT」
スタイルは八百万の神のイメージ、全高は150cmと人目をひく大きさ、
エンクロージャーはTQWTとバスレフのハイブリッドという変則的な方法です。
使用ユニットはフォステクスの12cmフルレンジFE126Eです。
最近は色々なユニットがたくさんありますが、大入力で低歪なフォステクスが使いやすそうです。
これを第一弾として、もうひとつ8cmのFE83Enも使いたいと計画中です。
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by tatakibori | 2011-09-22 20:55 | オーディオ | Comments(2)

臥薪嘗胆

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支那のことばに臥薪嘗胆といふのは、敵にうけたうらみを忘れず、辛苦に耐へて、
時宜を得た時に、復讐をとげるといふのである。
これは古い時代の人の性格で、我が國人の風儀にも、かういふ考へ方が
多少はあつたやうに思われる。敵の目からどこかにかくれてゐて、世間の
目をくらますといふこともある。・・・・(略)     
・・・・
我が國には、一貫する文明があつて、風雅(ミヤビ)といふことばでよばれる。
朝廷の文明である。町人の文化にしても、平安京以後の風俗でいへば、
源氏物語の気分を尊ぶやうなところにおちつく。・・・・
         保田與重郎「方聞記」(風雅)より


臥薪嘗胆は争いの歴史の中に生まれた言葉で我が国では馴染まない考えのように思えます。
例外的に津山の史跡である院庄の児島高徳が刻んだ十字の詩「天莫空勾践 時非無范蠡」
(意味:天は古代中国の越王・勾践に対するように、決して帝をお見捨てにはなりません。
きっと范蠡の如き忠臣が現れ、必ずや帝をお助けする事でしょう)を思い出します。
これこそ越王・勾践ですから「嘗胆」由来の物語です。
かなり緊迫した争いの時代ですが、都から遠く離れた岡山の武将が「史記」から引用した
自作の漢詩を桜の幹に刻んで天皇だけに分かる暗号として伝えた事がまさに風雅であると私は考えます。
芭蕉の奥の細道「象潟や雨に西施がねぶの花」の西施はこの越王・勾践が呉に送った超美人スパイです。
壮絶な歴史物語も異国の地でロマンの詩に生まれ変わるという不思議です。

さらに保田師はこう書いています。
今日の政治は思ひやりを口にするが、思ひやりの真心がない。
つまり知恵も創造も美もうまれない。
政治が今日の最大公害である。
この政治は「政府」ではない。


戦後を通して間違っていたものがあり、それは何の解決の進展もないようです。
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by tatakibori | 2011-09-17 11:46 | 読書 | Comments(0)

人はみな神

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・・・この日本人の信実は、ありがたいことに、すべて自然である。
これを、古来から「おのづから」と云ひ、「神ながら」と云ひきたつた。
他国他人に比較する必要はない。
日本人の常の考へでは、神代に於ては、人はみな神であり、
今生となつても日本人の心のどこかには、三輪山は神の身ながらと
感じ拝する歌の感情が鎮つている。
三輪山が、神であることの説明や、証明は、入り用ないのである。
現世的感覚やその感情とは別の世界の感覚や感情が、
われわれの生身と今生の中に多分に生きてゐる。
そしてここが歌の生れるところにて、文芸美術の開闢(かいびゃく)するところである。
                  保田與重郎「わが万葉集」より


石激る垂水の上の早蕨の萌えいづる春になりにけるかも
           志貴皇子 万葉集巻ノ八
この歌の解説から一部を書き出しました。
この美しさこそが壬申の乱を結果的に収めるという話です。
混乱を救うのは文芸美術であり、その始まりにこの歌があるのです。
われわれ日本人の生まれながらに持つ感情がそこにあります。

               ・・・・ちょっと難しい。
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by tatakibori | 2011-09-16 20:45 | 読書 | Comments(0)

削命

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命を削るといふことばがあつたかどうか、急に思ひ当りがない。
細木香以の短冊に「夜桜や命を削る雨の音」といふ句があつた。
香以は江戸の大通人、その文字も美しくて品がよい。
この命を削るは、命が削られてゆくといふ意味だらう。
自分で命を削るのではないと思ふ。
しかし、自分で自分の命を削るといふ悲願も当然あるはずだ。
    保田與重郎「方聞記」より


命を削ってまで創作する芸術を残すには、私はまだ若いように思います。
最初に身余堂を訪れたのは昭和49年の夏で、私が17歳の時です。
昭和50年頃からの著作はリアルタイムで読んだ事になります。
何故かそれ以前の作よりその頃からの晩年の著作に強く惹かれるものがあります。
すでに腰をやや曲げて杖をついておられましたが、文章はむしろ瑞々しい
輝きを強めていったように思えます。
私がその年齢に達するにはまだ少しの時間があります。
人生はこれからだと思います。
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by tatakibori | 2011-09-15 20:59 | 読書 | Comments(0)