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美作地域の芸術活動

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近年、美作地区でも芸術家がたいへん増えてきた。
新聞やテレビでも美術のイベントが数多く紹介されている。
全国的な傾向でもあるが当地の特色と言えるほどに成長している。
美術系の大学が増えたので若い世代になるほどアーティストが多い傾向もある。
しかし、若い作家の環境は厳しい。
景気の良かった時代を体験している世代はよく売れた経験を持つが若い世代にはそれはない。
あまり売れないというのは評価されていない事に繋がるので励みを失っているのがよく分かる。
将来に対する不安と言うよりも、
仕事に対する努力はこれで良いのかという自信の無さを話していて痛切に感じる。
十年後にはもっとアーティストは増えるだろう。
もちろん競争があり、淘汰される場合もある。
求められる作品も形態を変え、販売方法も変わっていく。
今はその大きな変化に直面している。
三十年以上前には手作りの陶器でありさえすれば飛ぶように売れた時代もあった。
その頃には絵画、彫刻、デザインでもダメならガラス工芸という選択肢があると話されていた。
その時代において新しく求められる芸術が必ず現れる。
今、不遇なものにこそチャンスがあるとも言える。
鑑賞する側においても芸術が身近なものとなり、
絵手紙やスケッチの教室は大賑わいで手軽なアートを楽しむ人はどんどん増えてきた。
芸術の民主化というよりも、もはや革命と言えるレベルである。
その一方でビジネスとしては成り立ち難いものも多くなり
百貨店をはじめ多くのギャラリーがその活動を休止している。
世紀末に盛んだった美術界の大型プロジェクトが行き詰った今、
民家に学生の作品を並べるような身近で小回りの効くイベントが登場してきている。
資金は行き詰る事もあるが創造のエネルギーは無限である証拠だ。
信念をもってたゆまぬ精進を続ける事こそ新しい時代を切り開くのではないかと
今になってあらためて考えている。

(某フリーペーパーへの原稿、過去のブログの焼き直しです。)
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by tatakibori | 2012-05-30 09:50 | その他 | Comments(0)

語り継ぐ

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 来年は美作建国1300年だが、その前に今年は古事記1300年である。
太安万侶(おおのやすまろ)が稗田阿礼(ひえだのあれ)の誦習(しゅうしゅう)していた記録を
編纂し献上したのが和銅5年(712)だった。
古事記やその後の万葉集はまだ平仮名のない時代で漢字で書かれているのだが、
その用法は安定しておらず複雑であった。
漢字は紀元前にすでに到来して使われていたそうだが、
それを使う日本語の確立にこの最古の歴史書と詩集が大きく貢献したのである。
それ以前にも文字によって記録された文章があったがほとんど残っていない。
稗田阿礼は抜群の記憶力で過去の記録を覚えて口述し、それを太安万侶が書き留めたとされている。
誦習とは声に出して繰り返し読む事で、独特の節回しなどあったそうだ。
そうやって語り継がれてきた物語を書物にまとめたのが古事記である。
文字、紙、筆などはあったが印刷はまだ無い時代だから、出版というのでなくて「献上」である。
そして書き写されて後世に伝わった書き物は誦習されるのだから声に出して節をつけた時に
美しい響きを持っていなければならない。
文学は音楽であり人々の娯楽でもあった。
我々が1300年後に語り継ぐのはどんな物語なのだろう。
それは何も特別なものではなく今の世に語られている中から自然に残る美しく強い響きであるはずだ。

(イクシラ夏号の原稿)
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by tatakibori | 2012-05-29 10:37 | その他 | Comments(2)

低音が遅れる

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音楽が好きな友人の多くは「聴く人」ではなくて「演る人」です。
そこで興味深い話を耳にしました。
電気を使わないベースやバスドラなど低音楽器は音の立ち上がりが
録音された音楽のように力がないので遅れて聴こえるのです。
アコーステック・バンドの場合、演奏者はそこで一瞬早めに音を出すそうです。
エレクトリック・ベースや打ち込み系楽器では音の立ち上がりが早くなるので
演奏スタイルも違ってきます。
それならばオーディオマニアのよく言う「タイムアライメント」は制作者の意図と違う場合も出てきます。
そもそもライブの現場ではオーディオマニアの気にする音像定位とか空間表現とか考えてはいません。
音が前に出るとか、ノイズが乗らない、音が潰れないなどが制作者の苦労です。
クラシックのライブ録音でもバイオリンやフルートなら演者のちょっとした動きで再生される音の定位が動いてしまいます。
演奏者には定位という言葉さえ意味が違ってきます。
オーディオマニアの苦労や努力は見方を変えると完全に意味を失うのです。

発信者の立場から考えると、凝りに凝って多彩で力強い表現にチャレンジしたとしても
観賞者がそこを見て感じてくれなければ全くの徒労に終わるという事です。
美術にも音楽でいうオーディオマニアのような受け手の世界が多くあります。
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by tatakibori | 2012-05-19 08:47 | オーディオ | Comments(8)

低音再生

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スピーカーを新しく作ると音楽を鳴らしてチェックしなければなりません。
箱による違いというのはほぼ全部「低音再生」の差です。
周波数で言うと、たぶん100Hz以下の部分のようです。
自分の好きなレコードやCDを何枚もかけてチェックをするのがマニアです。
その昔ならピンクフロイド「狂気」(1973)の冒頭の心臓の鼓動のような
バスドラムの音です。これがCDの時代になって強力なアンプで
恐怖感を伴うような迫力で再生されて喜んだマニアも多いことでしょう。
それからマイルス・デイビス「アガルタ」(1975)です。
当時のLPレコードには「住宅事情の許す限り大きな音で聴いて下さい」と書いてあったのです。
たまげるような低音の迫力がこのレコードに詰まっているんだと夢がふくらみました。
そして、1976年にウェザー・リポートにジャコ・パストリアスが参加して
「ブラック・マーケット」(1976)、「ヘヴィ・ウェザー」(1977)が世の音楽ファンに衝撃を与えたのです。
このあたりまではまだ良かったのですが、時代はデジタルに進んでいきます。
1979年には打ち込み系の始祖とも言えるYMOが登場して「ライディーン」「テクノポリス」など
日本の巷で大流行したから、残念な事にベースやバスドラがどうとか
我が国ではほとんど言わなくなってしまいました。
今から思えば英米のエンジニア達は当時でも地味に音作りに苦労していたようです。
カーリー・サイモン「Boys in the Trees」(1978)の5曲目「Fly Me Face」のバスドラの
音などアナログレコードでは限界と思えるような重さがあります。
時代はCDになり、妙に軽くてレンジの広い低音で密度がないというかつまらない
オーディオ暗黒の時代が80年代に始まります。
我々は1992年のエリック・クラプトン「アンプラグド」の登場までオーディオの楽しみを
捨てなければなりませんでした。
1994年にはイーグルスのライブアルバム「Hell Freezes Over」が発売されオーディオ
マニア復活の時代がやってきたようです。このアルバムがいまだにオーディオ・チェックに
使われるのは6曲目の「ホテル・カルフォルニア」のコンガに打ち込みの低音が載せて
あるような重い響きがどう表現されるかが面白いからなのでしょう。
日本産でも竹内まりや「インプレッションズ」(1999)の11曲目「告白」の
打ち込み系ベース音などもけっこう人気があるようです。
ブライアン・ブロンバーグ「Wood」(2001)はアコースティック・ベースの音だけで売った名盤です。
最近、私が気に入っているのはakiko「akiko's holiday」(2003)の
11曲目「ゴッド・ブレス・ザ・チャイルド 」のややウソ臭いベースの音です。
恥ずかしいですが、スピーカーの体操と称して小室サウンドの安室奈美恵「SWEET 19 BLUES」(1996)の
16曲目「ボディ・フィールズ・イクジット」の完全打ち込み低音も大迫力で鳴らす事があります。
挙げればきりがない話なのでこのへんにしておきます。
まだまだ低音だけで楽しめる音楽もたくさんあります。
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by tatakibori | 2012-05-11 18:09 | オーディオ | Comments(2)

叩き彫スピーカーver.2プロジェクト その3

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オーディオ系のネタが続くのは不本意ですが、
叩き彫スピーカーver.2「ツクヨミ」が完成したので報告です。
針葉樹合板で作りたかったのですが近くのホームセンターでは
入荷の目途がないので、しかたなくラワン合板で作りました。
広がる下部の方で箱鳴りがするかと思っていましたが
意外にも上の方の側板が少し鳴っています。
仮の箱で粘り気のある低音がしていましたが、
テーパー状の箱の特性かナチュラルな響きになりました。
やや低音の切れが悪いのでもう少しグラスウールを追加する予定です。
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余った素材で適当に作ったFE164という80年代頃の16cmユニットとの比較をしました。
FE127KOはさすがに21世紀のユニットで音のクオリティがまるで違います。
ジャズでビル・エヴァンスを聴くと圧倒的に新スピーカーが高音質です。
ロックに変えてジャクソン・ブラウンを聴くと意外にも歪が気にならなくなり
アコースティック・ギターの音に厚みのあるFE164も捨て難いものを見せます。
どんな音楽を聴くかで好みが違ってきますね。
ルックスは新型が落ち着きがあって良いと思います。

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by tatakibori | 2012-05-10 12:17 | オーディオ | Comments(0)