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工芸作家はアウトロー

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建国1300年記念「美作の工芸作家展」(仮称)の開催を計画しています。
開催予定日は平成25年10月18日(金)19日(土)20日(日)の3日間(予備:その次の週末25~27日)
場所は津山文化センター展示ホール
趣旨として・・・作州に今どんな工芸作家がいて何所でどういう活動をしているかあらためて地域の皆様に知っていただくためのイベントです。
近年、美術工芸関係の作家活動を美作地域で始めた若い作家が増えて世代交代が急速に進んでいます。
アート系のイベントは多く開かれていますが、工芸は物を作って売るのが生業(なりわい)ですから参加しにくい状況もあります。
そこで美術工芸関係の作家を集めてその作品、活動や工房の所在地などを広く多くの方々に知っていただくのが目的です。
古くから活動をしているベテランの方々に聞いても、最近は工房へ訪ねてくる人が減っているようです。
気軽に工房へ見学や制作体験など楽しみに訪問し、美術工芸を身近に親しんでみようと
世の人々に呼びかけたいと思います。

テーマ:「作った人の顔と名前が分かる物に囲まれたこころ豊かなくらし」(仮)

参加作家:作品を販売できる人です。陶芸、木工、染色、彫刻、絵画、版画、ガラス工芸などジャンルは問いません。
販売、見学可能な工房があり、それを知ってもらいたい人。
ワークショップ、体験教室や定期的に教室を開催している人・・・・

と言う事で、現在は参加作家を募集中の段階です。

で、ここからは私の本音のお話です。
世の中ほとんどの職業は資格や制度の中にあります。
美作は過疎地域なので、周りを見渡すと医療、福祉関係とか教育関係、公務員、消防署、警察、自衛隊などが多いようです。
中学の同窓会で気がついたのは食べ物に関係する仕事の人も多いようです。
薬局、自動車関係、建設関係もあります。
あとは工業団地の工場で働く人達です。
自営業や専業農家は珍しいと言えます。
医師、看護士、薬剤師、介護士など多くの資格が必要な職種で構成される医療・福祉は
国の保険制度あってのもので医療保険、介護保険など税金がその基本です。
もちろん公務員は100パーセント税金から給料が出ているのは言うまでもありません。
多くの民間企業や自営業でも何らかの法的制約や許認可の中で法律を守りながら仕事をしているのです。
そうやって考えていくと、工芸系作家は法律とか制度とは無縁の珍しい職業なのです。
国や自治体、大企業のメセナ活動が主催するアートイベントは工芸系から見ると公共事業のようなもので
中々そこへ参入できない現実があります。
今から40年ほど前には工芸系の作家や事業所を集めて県の観光物産課が世話をしていた事があります。
全国へ備前焼を売り出したのは岡山県の仕事でした。
ジェトロが紹介して工芸品をアメリカに輸出した事もあります。
今はそういう動きはほとんどありません。
農業なら普及員とか専門職があり細かく農家を回って指導しています。
工芸には何の手助けも無いのです。
今の工芸作家は完全なアウトローなのです。
我々から見ると世の反体制の発言者はほとんど体制の中でぬくぬくと暮らしている人々です。
アウトローは体制の批判さえ許されないのです。
団結して何かを勝ち取るというような事は考えませんが、
横のつながりを少しでも持って手作りの価値ある仕事を後の世に伝えたいのです。
日本のモノつくり文化が衰退したら、それこそ日本そのものが滅ぶかもしれません。
世の一番自由な仕事であるが故に貧しく慎ましく暮らし、ひたすら良いモノを作る事だけを
願う作家を集めて、人々に少しでも知ってもらうのが目的なのです。
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by tatakibori | 2013-02-28 21:34 | 仕事 | Comments(0)

バタフライ効果

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ハリウッド映画「バタフライエフェクト」(2004)で知られるようになった言葉です。
ある場所でのささやかな蝶のはばたきが、
そこから遠く離れた場所の将来の気象に影響を及ぼす・・・
というような意味です。
通常なら無視できるような小さな差がやがては無視できない大きな差となるのです。

総選挙の結果が必ずしも民意を反映してないと言う意見が出ましたが、
議会制民主主義とはそんなものです。
一部の人々の強い意思がありそれが団結して世を引っ張れば
それがたとえ10パーセント以下の民意でもあっても
過半数の議席を獲得する場合も起こり得るのです。

もっと極端なバタフライ効果の結末を聞いた事があります。(以下フィクションですw)
その昔、ある市で寄付された美術品の展示館を作ろうと提案がありました。
その話が人づてにある高名なアーティストの耳に入ったのです。
彼は観光資源になる巨大なモニュメントの企画を提案したのです。
市長も議員もまるで文化の違う世界の話でキツネにつままれたようなものです。
その時点で賛成するものは一人もいません。
アーティストは市長や議員達を高級なフランス料理に招待して
自分の仕事を見学してもらい、最先端の芸術の世界を紹介したのです。
さらにイタリア、フランスへアートの視察旅行も段取りしました。
国内トップの芸術家のガイド付きでヨーロッパの最先端のアートをたっぷり見学すれば
どんな人でもいっぱしの美術愛好家になった気分です。
やがて議会では反対するものはいなくなりモニュメントの制作は実行されます。
実際には核施設を有する市は自己負担などなしでも建造できるから、
誰にも損害はないというカラクリまであります。
2年の工期を経てモニュメントはとうとう完成しました。
待ちに待ったその除幕式の日にはとんでもないどんでん返しが待っていたのでした。
足場が外れ、巨大な白いシートを取り去ったモニュメントは
なんと大きなドリンクの缶で横にはレッドブルとコカコーラの文字まであります。
「ちょっと予算オーバーしたからスポンサーを募って広告を入れました。」
とアーティストは平然と言ったのです。w

かように、場合によっては賛成するものが一人もいない議決が
議会制民主主義の制度の中で可能なのです。
何かを変えようと強く思うなら政治に働きかけなければなりませんが、
選挙で立候補するとか、どの党とか誰にとかは関係ないのです。
当選して議員になった人と食事や旅行をして話し合い、
理解してもらう努力を続けるのです。
それは誠心誠意を持って進めなければなりません。
何かに反対とか許さないというのでなくて、あくまでも建設的な意見として
話し続けなければならないでしょう。

エネルギー問題、憲法問題などSNSでも盛んにアピールする人がありますが
あれは場所も方法も全く違っていると私は思います。
先ず、議員に会いに行くべきです。
議員は有権者の話を必ず聞いてくれます。
バタフライ効果を信じて行動する事だけが結果を生むのです。
しかし、多くの場合はその反対の考えもある事をお忘れなく。
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by tatakibori | 2013-02-23 19:38 | 日々の生活 | Comments(19)

道祖神

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奥の細道の序文

月日は百代(はくだい)の過客(かかく)にして、行きかふ年もまた旅人なり。舟の上に生涯を浮
かべ、馬の口とらへて老を迎ある者は、日々旅にして、旅をすみかとす。古人も多く旅に死せる
あり。
予もいづれの年よりか、片雲の風に誘はれて、漂白の思ひやまず、海浜にさすらへ、去年(こ
ぞ)の秋、江上の破屋(はおく)に蜘蛛の巣をはらひて、やや年も暮れ、春立てる霞の空に、
白河の関越えんと、そぞろ神の物につきて心を狂はせ、道祖神の招きにあひて、取るものも手
につかず。
ももひきの破れをつづり、笠の緒つけかへて、三里に灸(きゅう)すうるより、松島の月先づ心
にかかりて、住める方は人にゆづり、杉風(さんぷう)が別しょに移るに、
草の戸も住みかはる代ぞひなの家
面八句(おもてはっく)を庵の柱にかけておく。




道祖神は甲信越地方に多いそうですが美作ではほとんど見かけません。
日本全国の人々が道祖神という言葉に馴染みを持ったのは奥の細道の序文に登場してからです。
その少し前にある「そぞろ神」は芭蕉の造語だそうです。
滑稽な言葉遊びの道具であった俳諧を崇高な文学に高めたのが芭蕉の大きな功績とされています。
じつは、馴染みの無い言葉を使ったり造語を見せるのは芭蕉らしくない表現です。

造語の達人は何と言っても夏目漱石です。
新陳代謝、反射、無意識、価値、電力、肩が凝る・・・など沢山あります。
この沢山も漱石の考えた当て字です。浪漫も漱石の考えたあて字です。
ユーモアあふれる作風ですから自然とそういう新しい表現が多くなるようです。

宇田川榕菴(1798~1846)という津山の蘭学者は翻訳、酸素、水素、窒素、炭素、白金、分析・・・
などのそれ以後の科学の基礎になる言葉をつくりましたが、造語で知られる人の中では
例外的な存在だと思います。
造語が上手な人は、例えば石津謙介(1911~2005岡山市生れ、VANの創業者)のように
アイデアが豊富で調子の良い人だと思います。

芭蕉は短い俳句の中に強い感動や美しさを共有するために言葉選びには慎重だったのです。
時雨、旅人、木枯らしなど好んで使った言葉がありますが特別な使い方ではありません。
より多くの人の心に響く言葉を選んで使い、美しい感動を呼び起こすのはたいへん難しいと思います。
道祖神も「どうそしん」と言うか「どうそじん」にするか悩みます。
音としては濁らない方が美しいですが、「どうそじん」と打たないと変換できません。
今の神社神道以前の原始的な信仰の流れを残す存在で、
はっきりした定義もなくぼんやりしたものだからこそ造語のように新鮮さを求めず、
落ち着きと優しさを刻んだのが私の道祖神です。
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by tatakibori | 2013-02-14 09:57 | 仕事 | Comments(20)

雑誌その4

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太陽、昭和55年の10月号。
京都の冷泉家がお金に窮したのか文庫の公開を行い大騒ぎになったのです。
注目すべきは藤原定家(1162~1241)の直筆です。
定家は百人一首、新古今集の選者として歴史に名を残しますが
達筆であったのも有名です。
テレビでその墨跡を見てこの雑誌が出るのを待って購入したのを覚えています。
いつかはあのような文字を書きたいと夢見たのは実現できませんが、
この本は私のバイブルのひとつです。
開いてみると、あれから33年が過ぎ去ったのかと感慨深いものがあります。
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by tatakibori | 2013-02-09 20:31 | 読書 | Comments(0)

雑誌その3 休刊

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かつて「銀花」という雑誌がありました。
文化出版局から1968年から2010年まで全部で161号が発刊されたそうです。
ほぼ全ての工芸系の作家にとってまさにバイブルのような雑誌だったと思います。
手元に残る一番古いのが1969年の第8号で最後は2009年の157号です。
銀花が見つけて特集を組みスターになった芸術家もあります。
その代表が佐藤勝彦であります。
さらに絵手紙の小池邦夫先生も銀花で世の多くの人々の知る存在になったと言えます。
どちらも発行された全ての中に手描きの作品を綴じ込めるという超人的な仕事をやってのけました。
ここまでいかなくても銀花に紹介されると言う事は工芸作家の登竜門であったのです。

写真の69年3月号を開くと現在の陶芸や和装文化、食文化となんら変わらないのに驚きます。
この40年で科学技術は進歩して私達の生活はすっかり様変わりしたように思えますが、
その根底にあるものや豊かさを感じる文化は何も変わらないのを思い知ります。
きっと他のジャンルの雑誌でも同じ事なのでしょう。
美術、音楽、写真、オーディオ、クルマ、ファッションなど40年くらい前の雑誌には
すでに全ての原点が網羅されていたのです。
極端に言えば人間の体の形は5万年前と何ら変わらないのです。
100年以下の時間などでは変わらない意識の方が多くて当然です。
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by tatakibori | 2013-02-07 07:48 | 読書 | Comments(6)

雑誌その2、ムック本

長い間、手元に置いて何かと参考にしたりながめていた雑誌があります。
今で言うムック本の類です。
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先ずは仏像の特集です。
昭和53年発刊の講談社MOOK「日本の仏像」です。
かなりボロボロになってしまいました。
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こちらも講談社から出た没後1周年「グッドバイ棟方志功」
昭和51年発刊です。
穴が開くほど見たと言っても過言でないくらい見たように思えます。
それでもまだ新しい発見が色々と出てくるのが不思議な本です。

私にとって、世間で言う「バイブル」以上の2冊です。
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by tatakibori | 2013-02-04 19:52 | 読書 | Comments(0)

雑誌

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2月1日発売の小学館「和樂」3月号の誌上お買いものに叩き彫「八百万の神」が
紹介されています。
ネットで情報が得られるようになって雑誌を買う機会が減ったので
久しぶりに買う高級婦人誌の写真の美しさには驚きます。
やはりパソコンのモニターで見る写真と最新のデジタルカメラと印刷技術の
集大成である高級誌の写真では静寂感がまるで違います。

雑誌でも貴重な情報があるものは長く保存しています。
本棚にある懐かしいものを紹介します。
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先ずは1965年の芸術新潮です。
この時代の美術雑誌を読み返すと美術の世界に進歩は何も無いのがあらためて実感されます。
今流行のアートのほとんどは60年代に登場したものの焼き直しというのが分かります。
当時は五味康祐「西方の音」というオーディオと音楽の連載が気になって読んでいました。
小学生には読んでもさっぱり分からない話しばかりですが、
それでも当時の情熱のようなものだけは伝わっていたのです。
今でも独特の語り口と価値観がとても面白く読めます。

まだまだたくさんあるので続編を書きます。
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by tatakibori | 2013-02-03 09:40 | 読書 | Comments(0)