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平澤興語録

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絵手紙の小池邦夫さんが平澤興先生に注目していると聞きました。
平澤先生は保田與重郎先生と親しく、保田先生はお孫さんに
平澤先生と同じ名前をつけるほど心酔していたのです。
この本は読み物としては同じような話の繰り返しが多くて
年寄りの話を聞いているような感覚もありますが、
他人へのメッセージとしては引用がしやすくて
深い内容のある本です。
小池さんは筆を持って書く言葉を探してたどり着いたのでしょう。
一言何か書くなら引用がしやすくてとても便利な本です。
似たような語録として知られるのは安岡正篤一日一言があります。
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こちらは他人のために何か一言というより、
自分のために読む、心をおおらかにする本です。
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私の本棚にある本の中では中村天風も人生を見つめるに役立つものです。
こちらは若い人に何か話す時にその素材として役立ちそうです。

宮澤賢治「雨ニモマケズ」をよく書きます。
同じ様な心に響く詩なら吉野弘「祝婚歌」なども親しまれています。
今、平澤興先生の言葉に注目する小池さんのセンスには驚くばかりです。
他に挙げた名著や詩よりも短い言葉で生きる希望を表現している平澤興語録は
今の時代に生きる日本人に求められている心があります。
いずれも落ち込んでいる時は、そんな事は言われなくても分かっている
というような本ですが、これから何かしようと思う時やそのきっかけとしては
こういう言葉が心の支えになる事があります。
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by tatakibori | 2014-02-28 08:54 | 読書 | Comments(0)

イクシラ2014春号の原稿下書き

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伝統の精神
美しいか、美しくないかの判断はきわめて個人的な感覚で、直感的である。
それ故に世の中の現象としては不安定なものだ。
ではその根拠は何処にあるのだろう。
言うならば、魂の不滅と永遠である。
我々に連綿と続いた普遍の価値観の中にこそその永遠はある。
米作りの文化の中に無窮の生命の連鎖があって、
それに立つ民衆生活の中に伝わる美意識こそがその拠所であると信じたい。
我々は千四百年前に造られた法隆寺と21世紀の安藤忠雄の建築に似たような感動を覚える。
それぞれの造形は伝統とは言えず、伝統の一部から出たものであり、
何らかのデコレーションが堕落を生んでいるとも言える。
伝統と言うのは、例えば田舎の器用な百姓や職人が民族本来の造型を
生命の連鎖に従って続けてきたものである。
それはあたり前の仕事であり、止むに止まれぬ仕事であり、楽しく誇らしいものでもある。
昭和20年代に棟方志功が作州に残したわずかの足跡が細々とでも伝わってきたのは、
それが民族の伝統に沿っていたからに他ならない。
棟方の芸術が原始の生命の息吹とか天衣無縫と呼ばれるのはかなり一方的な意見である。
それは最高の文化にたどりついた民の生活がかもし出す繊細さに満ちた感情表現であり、
ある意味で緻密な計算によった高度な洗練を持っている。
しかも生命の永遠な寂寥感をかりたてるほどの魂の力を持つ。
そういうものに感動を覚えるのが伝統の精神による美の判断である。
そしてそれは我々の身にしみ込んだくらしの心である。
芸術は伝統を捨て去ろうとするほど生命を失ってしまう宿命を持つ。
そこへ帰っていかなければならないように我々のくらしも伝統の中にこそ永遠の未来を持ち得るのだろう。
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by tatakibori | 2014-02-16 19:55 | アート | Comments(0)