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直毘塾の精神

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このままであれば、11月にはめでたく満60歳になります。
払い続けてきた国民年金はこれで納め仕舞いです。
あらためてお金の事を考えれば、生まれてからこのかた
幼稚園から義務教育を終えて高校へ進みさらに遠く都会の
大学にまで行って無駄とも言える多くのお金を消費したのみならず
人間が生きていくには直接関係ない創作の仕事にしがみついて
社会経済に貢献の少ない人生を歩んできたものです。


私がこの仕事を始めた頃に、父の師であった哲学者の松永材先生が
父の仲間に書き遺した文章をまとめて「直毘塾の精神」という
冊子を印刷する手伝いをしました。
原稿を読み直して、校正したので丁寧に読みました。
その本にはかなり面白い事がたくさん書いてあって、
それからの私の人生に大きな影響を与えたと思います。
父は私にお金儲けを第一にしないで生きていくための信念と
言うか勇気を持つためにこれを読ませたかったのでしょう。


昭和20年代に書かれているので表現が今とは違いますが
一部を引用してみます。

「経済学とは人間の生活に必要な物品の生産や流通、蓄積や消費等の
過程や資本の役目や売買関係等を研究することとなっている。・・
・・・経済学における「生活に必要なもの」は生命に最も接近した
また最も大切なもの(空気や水、胃や肺、心臓・・)でなく限定された
ものに縮小してくる。無くとも何等の痛痒を感ぜしめない宝石や
骨董品や奇物が莫大な経済的価値を持つ。・・・
この広大な世界の中に、金の支配する特殊地帯を設立し、金の主権の
もとに降服し来るもののみを選び出し、他の一切のものを抽象し放棄して、
これを境界外に放逐し、かくして独自の経済帝国を編制する。・・・
その結果人間は豊富な自然に於ける生活が不可能となり、狭い経済国に
入国許可を懇願せざるを得なくなる。・・・「生活に必要物」が次第に
「生活を苦しめる物」になり・・・「生活の奴隷」になりつつある・・・。」


過激で痛快な文章に驚いたのは25歳だった私ですが、父は25歳の頃に
直接の講義を聴いて感銘を受けたそうです。
ここだけ切り取っても全体の意義とはかけ離れてしまいますが、
敗戦後の混乱した時代に日本の若者に向けて書かれた
有意義な言葉が並びます。
それは時代を超え、世代を超えて今の若者へのメッセージとしても、
人間が生きていく本質を考えるための大きなアドバイスになります。
特に「家」についての考察は、なるほどと思わせる日本人の心にある
一番大切なものです。
日本の伝統的な農民や職人の持つ価値観の根源にあるものを
(当時の)科学的に説きあかして、それを未来へ伝えるために
心血を注いだ文章なので、機会あれば少しでも紹介したいと思って
読み直しています。

               つづく


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by tatakibori | 2016-08-28 10:10 | その他 | Comments(0)