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クルマ選び6

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この話題は盛り上がるからもう少し書いてみます。

私がクルマの免許を取ったのが1976年です。
その直後にベストセラー「間違いだらけのクルマ選び」が出ました。
このシリーズはそれから長く多くの日本人のクルマに対する価値観に大きな影響を与えたのです。
初代ゴルフが売れたのは徳大寺氏の功績に他なりません。
最もダメな買い物は中古のクラウンと書いてあったのが印象的です。
当時はまだトヨタを敵にまわしても生きていけたのですね。
780kg/ゴルフと1350kg/クラウンですね。(笑
ファッション誌感覚の「・・でなければならない」調がとても受けたのだと思います。
たしかに当時のクラウンは130km/hくらいからの急ブレーキで
過熱し制動力が落ちて止まらないという怖いクルマでした。
ただし、ゴルフもオフロードでの前後ブレーキバランスが悪かったと思います。

自動車評論家では他にも小林彰太郎氏、岡崎宏司氏など絶大な信頼がありました。
オーディオ評論家で言うと菅野沖彦氏が徳大寺ですね。
クルマもオーディオと同じスポンサーがらみの提灯記事を信じて
その受け売りの話がほとんどであるのは言うまでもありません。
巷での多くの説はイワシの頭も信心からです。

ならば長岡鉄男氏は三本和彦氏に相当するかもしれません。
例の「いつもの山坂道に持って行ってまいりました。」は今でもそれに習い実行しています。

「ニュートラルコントロールポイント」をどこに置くかが重要です。
この場合は感性を磨くと言うほどのものではありません。
軽トラでも喜ばしい行事で荷物を運ぶならどこまででも楽しく走れます。
じつは、両親の亡骸はサクシードで家まで連れて帰りました。
その反対に
4月の始め、これ以上は積めないまで荷物を押し込んで大阪へ走ったのは楽しい思い出です。

クルマが何であるかより何を行動するかだと思うし
その行動のために必要なクルマが何だと言うのが正しいと思います。
下手をすると隠れたコンプレックスを露呈してしまう恐ろしさもあります。
自分に似合うクルマに乗りたいものです。
# by tatakibori | 2009-06-04 09:30 | 日々の生活

クルマ選び5

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6年前にこのクルマを買う時に、もう自動車に思い入れなど持つべきでないと決めました。
「ドライビングプレジャー」と言うのは私にはよく分かりません。
いや、分かるのですがそれほどのモノじゃないと思うのです。
スポーツカーはもちろん楽しかったし、ライトバンやピックアップトラックも
フワフワの乗り心地のクラウンも2トン車もランドクルーザーも全部それなりに楽しめました。
「ボディ剛性」も分からない話です。
事故でも無いのにクルマの柱が曲がったとか、
モノコックフレームが反ってしまったなど聞いた事がありません。
ドアのたて付けと車体の剛性と衝突安全性の直接の関係など巷の伝説ほどはありません。
信頼性というのも疑問です。新車が立て続けに故障したら腹がたつでしょうが
そういうクルマもめったに無いです。
修理ばかりして、おかげでクルマにすっかり詳しくなったポンコツ車も
それなりに良かったのです。

クルマは白物家電と同じ感覚で買いたいと思います。
この写真を見てお分かりですか?
泥除けもホイルキャップも無い、まるで昔のアルファロメオみたいです。(笑
必要なモノだけの合理的なクルマという考えです。
これはこれで主張があって面白かったのです。
次のクルマとして考えを整理していけば・・・
もう少し耳に優しい、これより静かというのが希望です。
それが案外高くつきそうで心配です。
# by tatakibori | 2009-06-03 13:53 | 日々の生活

クルマ選び4

松下幸之助の水道哲学をご存知ですか。
物資を潤沢に供給することにより、
物価を低廉にし消費者の手に容易に行き渡るようにしようという思想です。

あらゆる消費文化は民主化されてきました。
多くの趣味の世界においては王侯貴族かと思うような贅沢が
庶民でも出来るようになりました。
オーディオに興味のあった1979年にイラン革命がありました。
パーレビ朝のシャー王の図書館に散乱するレコードの写真が今でも目に焼きついています。
なんという贅沢なヤツだろうと思ったのは言うまでもありません。
1986年のフィリピンの人民革命なら多くの人が覚えていると思います。
マルコス大統領のイメルダ夫人の贅沢な靴のコレクションの映像は衝撃的でした。
今なら普通の日本人でもそれらに近い人は多いはずです。

1976年に登場して世界の話題をさらったポルシェ930ターボですが
0-100km/hが5.5秒と視界が失われるほどの加速と雑誌に書いてありました。
最新のハイブリッド・クラウンとほぼ同等です。
ただし、プロドライバーの渾身のスタートでの930と
だれでもベタ踏みで出せるクラウンとは同次元では語れません。
それでロールスより静かで楽ちんなのですから民主化ここに極まれりです。

洋服を買いに行って思うのですが、
高校生の頃、VANのオクスフォード・ボタンダウン・シャツを
初めて買った時に3,000円は出したような気がします。
今はあれよりしっかりしたシャツが1,900円で手に入ります。
オシャレにあこがれた青春時代を思い出せば、
なんという贅沢になったのかとしみじみ思います。
もちろんオーディオも同様だと思います。
趣味人の世界はとんでもない方向や次元に進んで
もはや目的そのものが変ってしまったようです。

先年亡くなったイラストレーターの渡辺和博さんがクルマ趣味を茶道に
例えていたのを思い出します。
茶道における「唐物」が欧州製輸入車であり、ハイエンドオーディオなんでしょうね。
しかし唐物や名器があってもあそび心とか手作りの精神がなければ
心の貧しい茶の湯になります。
私の作品を茶室に飾る人もあるくらいですから
ブランド志向では茶人とは言えないのです。

だんだん「エンスー道の達人」のあり方が見えてきました。
やっぱり贅沢を全否定してはいけませんが
あくまでもライトウエイト、エコ、簡素な装備を基本としなければなりません。
四畳半の茶室に心豊かな世界を集約するのと同じです。
# by tatakibori | 2009-06-02 19:29 | 日々の生活

クルマ選び3

クルマの性能を表す数値はたいていが大きい方が良いとされます。
エンジンの排気量、馬力、タイヤの幅そして価格(?)などです。
例外的に小さい方が良いのは重量です。
軽さは運動性能の向上でありエコでもあるから美徳なのです。
ところが近年は安全性の向上の為、クルマは大きく重くなってしまいました。
参考の為に数字を並べてみましょう。
初代カローラ(1966)710kg→現行カローラフィールダー1200kg
初代シビック(1972)600kg→現行シビック1200kg
初代マークⅡ1000kg→マークX1570kg
スズキアルト1980年550kg→現行730kg
ミニ640kg→BMWミニ1200kg
驚く事に、初代クラウンが1200kgで1500ccですから今のカローラと同じです。
逆行して軽くなった例外は
SW20のMR2 1210kgからMR-S 960kgという大変身がありましたが
さっぱり売れなくなって、あえなく消滅しました。

軽量に特化したクルマはあります。
ケーターハム・スパーセブン・スーパーライトR500で500kg
レース用のフォーミュラマシンで公道を走るのと同じです。
安全性、快適性、実用性は無視されています。
ちなみにF1マシンは600kgです。

70年頃のロータスエランが640kg、ロータスヨーロッパが610kg
ユーノス・ロードスターが940kg、AE86が940kg
ヴィッツが900~1000kg
FRで軽量なら
KP61スターレット(1978)700kg
サニートラック(1971~1994)700kg

軽いクルマはバネが柔らかいとほんとうに軽快です。
固いとガチガチで疲れます。
軽量FRは高速道での安定性が問題です。
高速道、積雪にはFFが圧倒的に強いです。

今の1500のエンジンで1000kg以下なら
けっこうな加速性能になります。
軽量スポーツで日常の足として通勤なども考えると
1500で900kgのFF車が良いと思います。
たぶん0-100km/hを8秒以下でこなすでしょう。
あまりパワーを上げずにバネを柔らかめに仕上げて欲しいです。
900kgのクルマに騒音対策は期待できませんが・・・。
そのかわり燃費は通勤で20km/Lが実現可能です。
# by tatakibori | 2009-06-02 18:00 | 日々の生活

クルマ選び2

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私の父はクルマが好きだったので、もの心ついた時にはすでに我が家にはクルマがありました。
最初はたぶんスズライトとかコニーのような初期の軽自動車だったような気がします。
短期間に何度も買い換えたようであまり記憶は定かではありません。
タバコのヤニと2サイクルの排気ガスの臭いが染み付いた
狭くて息苦しいクルマだったように覚えています。
まともなクルマ第一号は白の「マスターライン」でした。
内装は赤と白の2トーンでベンチシート6人乗りで豪華で広々していました。
その後は中古のクラウンを数台乗り換えました。
1960年代の事です。
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その頃、クラウンより小さなクルマは運転席の足元にタイヤハウスの
出っ張りがあり後部座席も狭く家族で遠乗りなどとても無理でした。
クラウンは広々とした運転席の足元に大きなペダルが3つあり
しっかりした造りをアピールしていたのです。
これがその後長く日本の神話とも言える「いつかはクラウン」コンプレックスの
原点だと私は思います。
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今や最小クラスのフィットやヴィッツでも当時のクラウンより
広々としています。
もちろん動力性能など言わずもがなです。
私が免許をとった1976年頃のクラウンの高速性能は今のワゴンR以下です。
いや、もっと最近の1990年に買った2000のクラウンワゴンでも
今のミラより遅いのは確かです。
クラウンの名誉のために付け加えておきますが、先代(ゼロ)クラウンの
多くの車種は90年代初期のポルシェとほぼ同等の加速性能です。
最新のクルマはさらにとんでもない高性能になってしまったようです。
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長い間、何かの我慢を強いられてきた我が国の自動車メーカーが
溜めてきた物を吐き出すかのように突っ走っているのが
今世紀に入ってからの状況だと思います。
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消費者の立場で言えば、何を買っても不満はない品質になってきたのです。
普通の人が貯金をはたけば0-100km/hが5秒以下のスーパーカー並みの
国産車が手に入ります。
クルマに対する旧来の価値観はとうに崩壊しているのは間違いないです。
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それでもまだ大きな買い物であるクルマに何を求めて
大金を支払うかが問題なのです。
実際、どうしても家の道具として無くて困っているならそれほど迷ったり
考える事もありません。

不真面目で贅沢な話しになってきそうで心配です。

               ・・・まだつづく
# by tatakibori | 2009-05-30 18:15 | 日々の生活