人気ブログランキング | 話題のタグを見る

低音が遅れる

低音が遅れる_d0006260_8191183.jpg

音楽が好きな友人の多くは「聴く人」ではなくて「演る人」です。
そこで興味深い話を耳にしました。
電気を使わないベースやバスドラなど低音楽器は音の立ち上がりが
録音された音楽のように力がないので遅れて聴こえるのです。
アコーステック・バンドの場合、演奏者はそこで一瞬早めに音を出すそうです。
エレクトリック・ベースや打ち込み系楽器では音の立ち上がりが早くなるので
演奏スタイルも違ってきます。
それならばオーディオマニアのよく言う「タイムアライメント」は制作者の意図と違う場合も出てきます。
そもそもライブの現場ではオーディオマニアの気にする音像定位とか空間表現とか考えてはいません。
音が前に出るとか、ノイズが乗らない、音が潰れないなどが制作者の苦労です。
クラシックのライブ録音でもバイオリンやフルートなら演者のちょっとした動きで再生される音の定位が動いてしまいます。
演奏者には定位という言葉さえ意味が違ってきます。
オーディオマニアの苦労や努力は見方を変えると完全に意味を失うのです。

発信者の立場から考えると、凝りに凝って多彩で力強い表現にチャレンジしたとしても
観賞者がそこを見て感じてくれなければ全くの徒労に終わるという事です。
美術にも音楽でいうオーディオマニアのような受け手の世界が多くあります。
by tatakibori | 2012-05-19 08:47 | オーディオ
<< 語り継ぐ 低音再生 >>