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祖父の仕事

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母方の祖父は仕服(仕覆とも、読みはしふく)の職人でした。
昭和20年6月の岡山大空襲で焼け出されるまでは、茶道具の商いと
少しの家賃収入、仕服を作って人並みよりはやや裕福な生活だったようです。
京都には道具屋をしながら何かの茶道具を作っているような
お店を今でも見かけます。
千家十職と言われるような最高位の職人は別として、
普通は何か他の収入も得ながら、
代々に渡ってこだわりの道具を作り続けるのが職人の家です。
現代においても物作りの仕事だけで生活していくのはたいへんだと思います。
茶道具の竹細工が本職だけど、生活の糧には土産物の玩具に近いような
ものを作る人や、木工ロクロの職人が独楽やコケシを作っているのは
よくあるパターンだと思います。
能面を打つ職人はいつの間にか消滅して技術が途絶えたそうです。
現在は高度な技術を持つ木彫職人が家元に継承される実物を参考にしながら
その複製を作るような形で再現されているようです。
昔から、能面を打つだけではとても生活していけないのです。
手仕事として技術的にも美術的にも価値の高い仕事をどうやって継承していくか
という大きな問題があり、それは昔も今も変わらない状況なのだろうと思います。

祖父は戦後は細々と仕服を作りながら、茶道具の鑑定などもやっていたようです。
その目利きの秘蔵の茶器がこれです。
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唐物染付捻盃のような箱書きが見えます。古い景徳鎮なのでしょう。
とても良い色だと思います。

追記
祖父は貧乏を極めていたので、けっして高価なものではありません。
by tatakibori | 2013-04-25 16:42 | 仕事
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