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しゃべり言葉

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ここへ書いている文章はですます調の「敬体」ですから、
しゃべり言葉で書いている事になります。
明治の頃から話し言葉で文章を書く技法が色々と試されていたのですが、
さすがに味噌汁を「おみおつけ」と書くのは会話以外ではなかったと思います。
職人の世界では漆を塗る「塗師」を「塗師屋さん」と言いますが、
業界用語で一般に使われるような言葉ではありませんでした。
今やっているNHKの朝ドラではこの「塗師屋さん」が登場しているようです。
伝統的な言葉でもあるので、さほど違和感を持たない人も多いでしょうが、
私はテレビの中で使われた事に驚きました。
塗師で「師」が付きますから敬称であり、それに「屋」を付けて
さらに「さん」が付けば、充分に変な言い回しで「おみおつけ」に
匹敵すると言えます。

ごく最近の現象ですが「作家さん」という表現に違和感を持ちます。
美術商や百貨店の業界用語では「作家」は「先生」と言うのが一般的で、
「作家さん」というのは新しいしゃべり言葉の表現のように思えます。
さらに、自身が(昨今の誰でも作家という現象を含めた)作家である人が
同業者を「作家さん(たち)」と書くのはとても変な表現に思えます。
資格のある職業では同業者を「先生」と呼び合う事がありますが、
外部から見ると変に思える場合があります。
それとは少し違う現象だと思いますが、今後定着するかどうか
とても興味があります。


by tatakibori | 2015-05-07 19:57 | その他
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