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作品と人柄

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芸術作品や工芸作品に作者の人柄、性格やその時の精神状態が出るのかどうか
という話があります。
以前にブログに書いた事がありますが、若い頃にある岡山の著名なお方に
ご案内いただき岡山美術館の館長さんにお会いしました。
簡単な紹介をされて挨拶したら、
「そういうのが一番困るんだよね。作者の内面がどうとか美術には関係ない
ものを創作の一義に持ってこられると・・。」で話はお終いでした。
当時その世界では名のあるキュレーターで評論家だった方なので
ものすごい違和感を感じた事だけが記憶に鮮明に残っています。

私も還暦を迎えて、それなりにこの分野を見続けてきた経験から言うと
やっぱり作品には人柄や性格が出ると思います。
言い切ると異論のあるところですが・・・、
例外的に現代アートでは二次創作というか便器だったり新聞紙のような
日常的な工業製品などを利用した作品があるので、作者の意図が
最重要になり、その人柄や性格が表れる「手作業」が少ないものもあり
作者の人柄を感じ難いものもあります。
逆に書道のように最終的には作者の教養や人柄が問われるものもあります。
美術大学では現代アートは教えますが、書道は美術大学の分野でないのが
気になるところです。
私は年齢を重ねてから、作品に表される人柄を強く感じて感動する機会が増えました。
そういう磨かれていく創作の表現力や受け手の感受性は
「老い」を美しいものと思わせてくれます。
そういった出会いや感動を味わうのが人生の喜びだと思います。
還暦を過ぎての将来の希望はそこにあると言えます。



by tatakibori | 2016-07-05 21:21 | アート
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