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後世に残すと言う事

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松尾芭蕉の俳諧と言えば小学校の教科書にも載っている日本人としての
基礎的な教養の一つです。
芭蕉の生涯は1644~1694年で50歳で亡くなっています。
芭蕉の没後38年の1732年に蝶夢が生まれています。
蝶夢が芭蕉の研究をして、その遺作を3冊の本にして出版しました。
これが後世に残る芭蕉の偉業を日本の文化として確立させたのです。
じつは、大きなブームとなり一世を風靡した芭蕉の俳諧も
その没後にはだんだん廃れていったのでした。
蝶夢は30年かけて芭蕉の墓所である義仲寺を再興し、
1793年に芭蕉100回忌を成し遂げました。
今の義仲寺は昭和になってまた荒れはてたものを
1965年に保田與重郎(1910~1981)らによって再興したものです。
芭蕉に関する書物や研究者は多くありますが、蝶夢の研究に力を
注いだのが佐賀大名誉教授の田中道雄(1932~)です。
私は40年くらい義仲寺に集まる諸先生方にお会いしてきましたが、
田中先生は純真に蕉門の俳人をほんとうに熱く語ります。
そこに血の通った人物像を語りたい、と言うような話をされます。
古い手紙などからその人柄や信念を感じ取り、人物を語ります。
お話を聞いていると、
世の中に当たり前にあるものが、じつは志を持つ少数の人によって
ようやく守り続けてこられた事を目の当たりにするのです。
そういうたいせつな事は世の中にたくさんあるから、
それぞれの人の持ち場でたいせつなものを後に続くように
しなければならないと知るのです。
田中道雄先生ほどありがたいお話をされる人は滅多にいません。





by tatakibori | 2017-11-28 21:25 | その他
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