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病床にて2

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ここ数日は、それほどの痛みはないが、体を動かすと熱が出たり耳が痛くなるので横になっていた。
定位置は下はホットカーペット(時々熱いくらいにすると弱っている体に良いような気がして好んでいる。)
前は文机でその向こうにテレビがある。
毛布を被ってあきれるほどずっと寝ていた。ここ数ヶ月の疲れがいっぺんに出てくるようだ。

目が覚めるとその辺に転がっている本を読んだ。
山田悠介という若いミステリー作家の本が何冊かあった。
呪いとか幽体離脱とか憑依とかそんな感じだ。
お話や本が好きな人はどうしてこういうジャンルが好きなんだろう。
筒井康隆にも馬になったり男女が入れ替わったりする物語があったのを思い出した。

それから、星新一の読んでない本があったので、それもついでに読んだ。
不思議の国のアリスを元にしたような夢の世界の話だ。
夢の中に何度も訪れる場所があるというのは本当だと思う。
熱が出ると同じような夢をよく見るような気がする。
久しぶりに読むと星新一の文章はほんとうに洗練されていると思う。
難しい言葉をあえて極端に避けて子供にでも分かるように書いてあるが
その底に流れる教養のレベルの高さをいつも感じてしまう。

それからJ.K.ローリーングのハリー・ポッターのペーパー・バックスがあったので
開いてみたが3行でやめた。(笑 やっぱり英語は苦手だ。

そして「不敗の条件」(保田與重郎と世界の思潮)ロマノ・ヴルピッタ著をパラパラと読んだ。
(内容が難しく時間がかかるので全部は読めない。)
ヴルピッタ先生はイタリア人ながら日本語でも並みの文人以上の筆を持つスーパーマンだ。
保田與重郎論は数多くあるがこの本には一番の本質を書いてあると思う。
保田師を直接知る我々だけがそう感じるのかと思っていたが
最近の若い保田ファンの間でもこの本が人気があるようなので
きっと美しい心を持つ人なら皆そう思うのだろう。
ヴルピッタ先生も書いておられるが、物事には言葉や文章に出来ない(し難い)事柄が多くあり、
それを表現する手法として保田流の独特の技術があると私は思う。
さらにまだ表現できない心の表現があるならば、それが木を刻んで作るもので埋められると私は思う。
私には映画も撮れないし文章も書けないが、それが今の仕事の持つ使命である。
by tatakibori | 2007-05-28 17:26 | 日々の生活
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