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真贋のはざま

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これは50年以上前の祖父の木版画の原版です。
昨日、書いていて思ったのですが
これからもう一度刷れば新しい祖父の作品が出来上がります。
50年前にやっとの思いで手に入れた版画用紙より
今私が使っている越前版画用紙の方がずっと上等です。
墨も可能な限り上質なものを使うよう努めております。
つまり、工芸品としてはより優れたものが再現できるのです。
問題は作品として作者の意図にどれだけ沿うことが出来るかです。

もっと踏み込めば、この原版が傷んだ場合には
叩き彫の後継者である私なら関係者以外には分からないであろう
寸分たがわぬ複製を作る事もできます。
その場合は不道徳な贋作という事にはならないから
誉れのある技術の継承と言われることでしょう。

何を持って贋作と言うか・・・そう考えると
つまるところお金儲けの手段かどうか・・・
そういう事なんでしょうね。
by tatakibori | 2008-12-12 08:16 | 仕事
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