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2019年 06月 07日 ( 1 )

大伴旅人


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験(しるし)なき物を思(も)はずは一杯(ひとつき)の濁れる酒を飲むべくあらし

令和の典拠は万葉集・大伴旅人卿の「梅花の宴」ですが、ここでは「讃酒歌十三首」の一つを取り上げました。
「験なき物を思はずは」、思ってもかなわぬ欲望の世界にあくせくするよりは、との意。
漢籍仏典に通じる教養人らしく、おおらかで自然な神ながらの世界を歌いあげています。
旅人は晩年に太宰帥として赴任した筑紫での山上憶良たちとの交流の中で多くの名歌を万葉集に残しています。





旅人の讃酒歌を仏教戒律への皮肉や度重なる嫌な出来事による失意のものと解釈される事もあります。
もちろんそう言った側面もあるでしょうが、旅人にとって飲酒は完全無欠な遊びであります。
その「遊び」とは魂を太くし大きくする振舞いであり、神聖な祭そのもののようです。
旅人は西暦665~731年ですから、古事記(712)、万葉集(783年に旅人の子・家持によって最終的に編纂された)の
時代を生き、随から唐の時代の文化を肌で学び、古代の日本文化の成熟に大きな影響を与えた人物だと思います。
「令和」よって旅人が見直されるのはたいへん喜ばしい事です。


by tatakibori | 2019-06-07 11:03 | 仕事 | Comments(0)