1 ![]() 板に絵を刻み、文字を添えるのは父が考案した方法です。 スタートは木版画の原版そのものを作品にした事です。 私の場合は父が仕事が出来なくなった後からの 注文に応えるために始めた仕事です。 文字を添えると絵に豊かさが出てきます。 彫る文字は書く文字と違います。 書家の文字をそのまま縁取りして刻む方法とは違って 三角刀で一気に彫り上げるから面白さがあるのです。 私の書く文字は木版画にしたり、板に刻むのが目的です。 文字だけを彫った作品もありますが、絵に添える方が豊かで楽しいようです。 書くほどのスピードが得られないので踊るようなリズムを加えるのが良いと言うのは 父のたどり着いた考えです。 ▲
by tatakibori
| 2013-01-22 19:03
| 仕事
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美しい文字を練習する方法をたずねられる事があります。
それこそお門違いですが、真面目に答えます。 二十歳の頃、父が私に教えた方法は一冊の本を鉛筆で写す事です。 文字のフォントは「教科書体」が適当だと思います。 沁みついてしまった変なクセを取り去るのが目的です。 文字は読み易いのがベストです。 それ以上は何もありません。 書の文字には大きく3つがあります。 右から楷書、行書、草書です。 ![]() 左は古い書体の隷書(風)です。 パソコンのフォントにもあるのでお馴染みの方も多いでしょう。 草書になるとほとんど読めなくなります。 ![]() これは幕末の備前の歌人・平賀元義の墨跡です。 よく見ると書体は統一されていません。 草書あり行書ありでさらに読みやすくするための「はね、とめ、はらい」を排した 現代的かつ芸術的な文字もあります。 この時代には一般的には「和様」というか「御家流」というか公文書に独特の 読み難い書体を用いていました。 文章も「候文(そうろうぶん)」というややこしい文体です。 明治になって和様は排されて、読みやすくて分かりやすい書や文が だんだんと進んで行ったのです。 パソコンのフォントに「江戸勘亭流」があります。 芝居文字、寄席文字、相撲文字など江戸文化の文字を一まとめにしてあるようです。 これも独特の文化の世界で一般的な書とは違いますが、その筋ではちゃんと継承されています。 江戸時代の書の文化は一般には読みやすくするよりも、その世界独特の文化を作り 個性を主張し、やや閉鎖的な集団を形成するための手段でもあったようです。 速く、読みやすく書くという方法は私の亡父の日記などにも面白く表現されています。 ペン書きながら草書、行書も織り交ぜた独特の書体は父なりの合理的な表現だったのでしょう。 平賀元義の書にはその基本形があるようです。 ▲
by tatakibori
| 2013-01-21 10:47
| 日々の生活
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![]() 近親憎悪とは、兄弟や親戚が憎みあう事のように思えますが、 一般にはむしろ性格の似たものとか同じ種類の人間同士のジェラシーを言うようです。 正直に自分に当てはめて考えると、美術系の職業人の多くには さほど強い違和感やジェラシーを思いませんが、 木版画の一部の人や、板に文字を彫る人に大きな反感を持つ事があります。 棟方志功に影響を受けた人の全てが同じように棟方を見ているのでないから 私が全然注目していない作品に感銘を受けて、更にその向こう側の世界を広めている人もあります。 棟方志功の素晴らしさの本質はそこにはないだろうと思ってしまうからです。 板にノミで文字を刻む人にも同様の違和感を覚える事があります。 木と刃物の接点が織り成す芸術があるとすれば・・・などと思うのです。 たいていの場合は、ノミをゲンノウや木槌で叩いて彫っている人を見ると親近感が湧いてきます。 本当です。w 私も年をとってきたので、初対面の印象に違和感があっても、 その作品や作者の人柄に接していくとほとんどの美術には それなりの感動を得られるようになってきました。 ある分野の芸術では近親憎悪が多いようで、 テレビなどマスコミで活躍する人の作品を見ての感想に ネット上では「怒りがこみ上げてくる」という意見まであります。 趣味や感情が近い人こそ気をつけて接しなければならないのでしょう。 それでも日本ではイスラム教とユダヤ教の対立のような事は起こりません。 あれこそ近親憎悪の極めつけです。 しかし、東アジアでの領土問題での対立がそういう展開にならないように努力しなければならない時代です。 相手の言い分を聞くよりも毅然とした態度を政府がとるのが第一歩であると思います。 その根底や背景にある事情を見極めて行動することが肝心です。 逆に言うと、芸術の理解にもそういう「和」の心が肝要なのです。 違和感を覚える芸術を知る事は自分を客観的に見る事にもつながります。 ▲
by tatakibori
| 2013-01-14 19:24
| その他
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