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棟方志功の手紙2

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祖父宛の棟方書簡はとても面白いので
もっと紹介したいと思います。

この度もありがたく存じました。
山田様とお会いして全く二日をたのしく騒ぎ語り
通しました事々のよろこびをありがたさであります。
あの御神社と日の丸の御旗を拝んで山田家に
向ふ途中のよろこびはまた何とも言えない事です。
無上であります。みづかい時間ですが
どんなに長いよろこびも長く長く持ち
つづけて今もつづいてゐる事か、
皆々事々に礼拝です。

何度も読んでいるとこの文章に染まってしまいそうな
個性的で感情の深い表現の文章です。
いや、すでに色々と影響を受けてしまっています。
富山から鳥取の支援者宅を経て我が家に立ち寄り
倉敷の大原さんへ向かうというルートで
何度も我が家を訪ねたそうです。
長い時は一か月ほども滞在し
作州を楽しまれたと聞いています。
極端に貧しかった開拓者のボロ家で
下戸で一滴も飲まなかった棟方志功を
どうやってもてなしたのか不思議です。



# by tatakibori | 2023-02-11 18:37 | その他

棟方志功の手紙

前回の投稿のハガキの文が良く分からないと言う方があるので
書き起こしてみました。

十一面観音さま無事安座いたしました。
見事なものにて、合掌して止みません。
面のつけ所の、ゆたかさは、みなおどろくばかり、
柳、河井先生に見せたいと存じます。
この御恩ナンとも忘れがたく永久に、
わたくしの守護ある事でせう。
山田様が道の字が動いた様に
わたくしも、この十一面様がきっと助力く
ださる事と念願期します。
くわしく又、書拝いたします。

素晴らしい芸術家の文章です。
我が家に棟方志功を連れて来た詩人のYさんには
「おまえらのようなゴロツキと棟方先生、保田先生は住む世界が違う、
雅なものを知らない者とは違う。」
「山田昭雲には真実が無い。」
と言われショックを受けましたが、
私の祖父も中々頑張っていたのが分かります。
他人からいかに馬鹿にされようとも
幼い日に見た祖父の彫る姿が私の人生の始まりだったのは
恥じるような事ではありません。
一人でもその芸術に理解者があったことは祖父の
かけがえのない幸せでした。

# by tatakibori | 2023-02-11 12:59 | その他

祖父と棟方志功

叩き彫のホームページでその名の由来として棟方志功の名をあげています。
それを読んだかどうかは知りませんが、近年になって岡山県北美作地方と
棟方志功の関係に興味を持ち記念館を作ったり本を出した方々もあります。
私はそれらの動きに多少の応援もしたい気持ちもありましたが、
祖父と棟方志功のつながりは極めて私的なものであって
地域の歴史に残す様なものでは無いと考えています。
今までも公に祖父が棟方の弟子であったとか、その関係を
まるで見てきたかのような表現で書かれた文章を読んだ事があります。
21世紀になり、さらに令和の時代になり昭和20年代など
知っている人はもはや皆無と言えます。
不完全な伝聞や、生き残った人の語りを事実として捉えるか
どうかは歴史に対してそのスタンスを問われる行為だと思います。

父が私に伝えたかった仕事への思いとして、子供の頃から
祖父に縁のあった方々や父の尊敬する先生方にお会いする
貴重な機会を与えられてきた経験は私の貴重な人生の財産だと
この頃になって感謝しております。
棟方志功の素晴らしさはその人柄が一番だと私は思います。
それは聡明な棟方家の家風でもあり、人に接する態度は
一家共通のものがあったそうです。
人をたいせつにする心を私の山田家が学んだのは
棟方先生からのものが多いような気がします。
ほんとうはもっと紹介したい偉人がたくさんありますが
書けばきりがないのでやめておきます。
私は1970年頃の中学生の時に一度だけ棟方先生にお目にかかりました。
今となってはその体験も人生の宝だと思います。
でも他人にはどうでもよい話にちがいありません。
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# by tatakibori | 2023-02-07 13:22 | その他

あっという間の一年

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前回の投稿から半年、あっという間の一年が過ぎ去った気分です。
あらためて読んでみると、かなりネガティブな記事を書いています。
実際にこの一年がどうだったかというと、多忙の一言に尽きる
慌ただしい日々を送っていました。
主役は木版画教室です。教室自体にはそれほど時間は必要ないのですが
普段と違って複数の人との約束があるというだけで緊張する事もあります。
新しいお手本を用意するのも回を重ねるほど気合が入ってしまいます。
版木やはがき大の画用紙の消費をみれば忙しく過ごした事も頷けます。
注文で制作する仕事も増えてきたので休んでいる暇は全くありませんでした。
展覧会は岡山イオンでの一回だけでした。
年とともに衰える体力とますます「良い仕事を」という思いが
制作への集中を求めてきます。
現状では生活に困窮する事は今後もないだろうと、
これからも素晴らしい人との出会い、つながりをたいせつにして
制作に心を込めて続けていくのが使命だと思っています。
充実といえばそういう状態を作り上げてきたのかもしれません。
来年の目標は3回ぐらい個展を開いても良いかと思っています。
売り上げの低迷には関係なく、今しか出来ない仕事と、
人生に残された時間を有意義に使う仕事がたいせつだと感じています。

皆さま、来る年もまたお会いしましょう。

# by tatakibori | 2022-12-19 16:47 | 日々の生活

収入が減る

久々の投稿になりました。
5月にはイオンモール岡山の
ハレマチ特区365で小さな個展も開催しました。

長引くコロナ騒動に加えウクライナの戦争もあり
世界的な不景気の広がりと、戦時に弱い日本の
特性が原因かと思われる円安も加わり
物価上昇と収入減で不安は増すばかりです。
私はサラリーマンの経験が無いので
年金は国民年金だけでわずかな金額です。
介護保険と国民健康保険が天引きされると
ちょっと引くくらいの額になってしまうようです。
多くの人から「どうやって生活しているのか。」
とか「作品の制作時間はどれくらいか。」など
聞かれる事も多くなりました。
なんとか生活に困るような事はありませんが、
制作に要する時間はだんだん増えてきています。
体力の衰えもあるし、より良い作品を作ろうと
思う情熱がわざわいしている部分もあります。
実際に彫っている時間だけ拾い上げると
彫りやすい材木に当たれば計算上は
時給3万円になるかもしれないような時もあります。
しかし、硬くて彫りにくい材木で悪戦苦闘していると
一週間かかって2万円の作品を彫り上げるのが
やっとの時もあります。
さらに一か月以上を費やした注文の作品を
無慈悲にキャンセルされる事もあります。
すべてを平均して時給計算すれば
いったいいくらになるのでしょうか?
最も考えたくない話ですね。
芸術の道は厳しいとしか言いようがありません。
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# by tatakibori | 2022-06-21 17:38 | 仕事